No.33 台風

台風がついに上陸。家の庭もざわついてきた。家に帰ってご飯を食べて、あれ、そういえば猫を見てないと気づく。この時間にどっちも1時間も帰ってこないなんてかなりめずらしい。風雨はどんどん激しくなってきてる。ちょっと心配になって居間のガラス戸をあけて外を見てびっくり。2匹とも窓のすぐ脇の軒下にいるじゃない。しかも全然濡れていないとこをみるとおそらくはぼくが帰ってきたころから、ず〜っとそこにいたようなのだ。 ぼくはなにかすごく神秘的な、ステキなものを見たような気持ちになってもう大感激。2匹とも何かに取り憑かれたように、すごい集中力でじっと庭を見つめているのだ。いつもの大雨とは違う雰囲気に感づいて、そのただならぬ気配を全身で楽しんでいるような感じだ。とんでもなく純粋で強固な好奇心の塊がふたつ、そこに。 トラが特にすさまじい集中力で、いまだかつて見たことのない、この世のモノとは思えないような「きれいな目」をしていたものだから、ぼくは完全にその目に吸い込まれてしまい、数分間トラの顔から目が離せなくなってしまった。そしたらトラのとてつもない好奇心と集中力がほんの一時ぼくの中にも入ってきたような感じがして、ふっと感覚が切り替わり、モノの見え方・聞こえ方が、今まで味わったことのないような不思議な、強烈に気持ちのいいモノに変わったのだ。不思議体験だ。

猫らに触発されたぼくらは、風も雨も一番強くなってきた頃にもうどうしようもなく盛り上がってしまい、やもたてもたまらずふたりしてパンツにTシャツで外に飛び出した。冷たくて強い雨で一気にびしょぬれになったけど、これが最高にきもちいい!!道路までの土の道は雨水の吸収が追いつかず10センチほどの深さの川になっていたが、もはやなんでもありのぼくらはばしゃばしゃとサンダルのままそこをつっきって道路にでた。さすがに通りには誰もいなかったのでぼくらの奇行を近所のだれも知らない。ざばざばと庭の方へもどって、今度は外から猫たちをながめた。トラはぼくらに気づくとびっくりして、すぐ自分もこっちに来たがったけど雨が強すぎて躊躇していた。この毛むくじゃらにびしょぬれになられたら大変なので、誘惑材料のぼくらはすぐに立ち去った。それにもう体が冷えきってしまっていたので、風邪などひかぬようすぐに風呂で暖まる。 いや、たのし。今日は猫らのおかげで台風をたっぷり楽しめた。

2002-10-01-TUE

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