うまれた！　伸之介！！！　うまれちゃった！　　昼過ぎにさぽから電話があった！　やややややや、めでたい！　ほんとにうまれた！　まさかまさか人の中からほんとに人がでてくるだなんて、いまのいままでぼかぁ冗談だと思っていたよ。　きっと政府から内緒で「小包」が着払いで送られてきて、その中に国産の「新品赤ちゃん」がはいっていて、で、そのことを内緒にしないと合法的に一族皆殺しだぞっていう脅しの文書が赤ちゃんの背中に油性ペンで書いてあって、最後に落ちにくい青いインキで証明のスタンプをおしりあたりに押すのだとおもってたよ。　　でもこんなに近しい人間が10ヶ月以上かけてほんとにうんでしまった過程を目の当たりにしてしまったら、残念だけど「政府着払い説」は消えてしまうよ。　ほんとにでてきたんだよ、人から人が。　昨日までいなかった人がそこにいるんだよ！　なんのこっちゃ？？　そんなばかな！！

６時ぐらいで仕事を切り上げ、光のはやさでみんなのいる「済生館病院」へ。ところが駐車場の入り口が全然わからず、やっとこさ入れたと思ったらその道ったらいつのまにか出口の合流地点につながっちまいやがんの。　ちっ。　この辺は一方通行が多くて、再トライするのにものすごく大回りしなきゃならないもんだから大変。　はやく会いたいのに！！　さて七日町をぐるりし、こんどこそ正しい入り口からはいったのだが、なんだかやけにスリリングな展開をみせる立体駐車場の作りにたじろぐ。　普通にのぼってるだけなんだが、なぜかハリウッド映画の見せ場のような運転になってしまう独特の入り組んだ構造なのだ。　なんだここは？？　漸く車をおりて、いざ５階は523号室へ！　・・・ん？　ん？？　ん？？？　なんと今度はどうやって病院内にはいるのかが全っ然わかんないよ。　四方をぐるりと見てまわるも、全然いりぐちらしきものが見あたらない。　階段とエレベーターがあるのでいろんな階にいくが、どこで降りてもただ駐車場間を移動してるにすぎず、病院への渡り廊下らしきものがどこにもない。　ハリウッドから一転、今度は「世にも奇妙な物語」の主人公だ。もういやだ。面会どころか、ぼくはここから無事にでれるのだろうか？？　　しかたないので誰かにさりげなくついていくことにした。　そしたらなんと１階まで降りてからでないと病院には入れない作り、というか単純にふたつの別の建物ってだけの話だった。　ちっと考えれば普通すぐわかるのだろうが、どうも雰囲気とか展開からして、病院と各階直にリンクしてそうな雰囲気だったのでまったくその発想ができなかった。　ただ病院にくるのにどれだけかかってんだぼくは！つって入り口を探すが、こんどは病院の入り口が見つからない！　いったいなんなんだここは？？？　悪趣味院長ご自慢のラビリンスホスピタルなのか？？？　どうなってるのほんとに？？？　「時間外・救急入り口」という切羽つまった入り口があるのだが、ぼくは時間外でも救急でもない、ただの通常時間内での面会なのでここは使っちゃいけないはずだ。　それにしても救急の人の多いこと多いこと、みんななにげなく見えて救急なんだなー、なんてちょっと結末を予想しつつ病院回りを一周。　　　・・・で、はい！予想どーり！「時間外・救急入り口」からはいるみたいですっ！　おかしーだろーっつーの。　もはやなんでもアリだなここは。街のひとと同じ高さを歩いてはいったのになぜかB1だし。　異次元だここは。異次元病院。　水中出産のはるか上をいく異次元出産だ、じゅんこは。

数々の苦難を乗り越え、ついに、ついに伸之介のいる部屋に到着！！　いたーーー！！　ちっちぇーのが寝てる〜〜〜〜〜！！！　うわ〜〜〜〜〜〜！！！！　きゃわい〜〜〜〜〜〜〜！！！！！！！　やばい、ほんとにやびゃいよ。　きゃわいしゅぎる。　異次元ベイビー伸之介は目元がとしみつにそっくり、口元がじゅんこそのまんま。　ほんときゃわいい、なんだこりゃ。　いじくりたい。　頭おしてみたい。　足食べてみたい。　だめだだめだ、ずっと見てるとぼくは大変ことをしでかしてしまう。　たまにちらりと見ようぞ。　しかしあれだね、こんなのみちゃうとこども欲しくなっちゃうねー、やっぱり。　普段はまだいらないなんて思ってるけどもこれ見ちゃったらあんた。　　まだ産んで６時間ぐらいしかたっていないじゅんこから産むときの話をきいたんだけど、やっぱりとんでもなくつらいんだね。　話がまだ新鮮ってのもあって、恐ろしくてまじで震え上がったもん、ぼく。　そこいらのどんなアホアホヤンママでもみんなこの修羅場をくぐってるとおもうと尊敬してしまうもの。出産てすごい。女性ってすごい。　最近じゃ男性でも産めるらしいけどね。　　じゅんこがすごく弱ってて大変そうなので20分ぐらいでおいとました。　帰り際に伸之介がちょっと目をさましてぼくとも目があったんだけど、すげー緊張した。　まだ自分と同じ生き物って感じはしないわ。どうしても神様かなんかに見える。　　

11月21日木曜日、佐藤伸之介くんご生誕。　ほんとにおめでとう。　

2002-11-21-THU