No.263 植木市!

昨日打ち合わせにいってきた仕事がネックで、今日は朝から気が重い。 どうもだまされた感じで、デザイナーが行く段階じゃないところに呼ばれて、なにも固まってないところからぼくがひとりで全体像からつくんなきゃいけなくなってしまった。 打ち合わせのときに「おかしいぞ? しかしもうこりゃ自分が全部やるしかなさそうだぞ」と観念し、それならそれでちゃんと情報収集していかないと叩き台の大ラフすら作りようがないってんで、クライアントのおっちゃんがたにどんどんつっこんで聞いていくが、ほんとに全然どういうモノにしたいのかがみえてこなくてまいった。 営業に聞いても営業もなんだかよくわかってなくて、つまりなにも知らずについさっきこの話に混ぜられた「ほよ?」なぼくが、このおっちゃんがたのぼんやりとしたそれぞれの思惑、理想を霊能力で見破って、それを形にしなきゃいけないらしい。 まじか? つーか体裁すら決まってないんだもんなー。  で、せっかく週末だってのに気持ちの悪いのを来週に残したくなかったぼくは、朝から鬼のように集中して、なんと夕方にはほとんど全ページ完成させた! えらいぞぼく! すごいぞぼく! ゼロから形にするときはほんとに信じられないくらいパワーを使うので、やり始めはほんとに精神的にしんどいのだが、やりきった後のその爽快感といったらすさまじい。 それが週末の開放感と合わさって、今日の帰り道はほんとに気持ちよかった。 

家にかえってすぐに、さぽと植木市に出かけた。 昨日にひきつづき、今日も結構寒くて、ふたりモコモコに着込んで出かけた。 うちから護国神社は歩いて5分ほどなので、ほんと、お散歩気分でフラリといけてよい。 しかし人が多い! すごい! 10人/Fほどの込み具合で、5m進むのに、1分くらいかかるのだ。 どうしてもモアリッチの年に一度の揚げたてドーナッツが食べたくて、一番込み合う道を突き進む。 ようやく辿り着いて、ドーナッツを2個購入。 さっそく食べながら、今来た道を引き返す。 なんてことは無いんだが、揚げたてというのと、年に一度というので非常においしい。 神社の中にはいり、めぼしい露店をチェックしながらおめあての座敷テントを探す。 どこにいても聞こえる、お化け屋敷の呼び込みがかなり素敵。 「くぐってくぐってくぐってくぐって〜〜」と、同じおばちゃんの声がず〜っと聞こえてくる。 別の露店で米沢牛の串焼きを買って、で、去年と同じ場所にあった座敷テントに入る。 靴も脱ぎ終えないうちからビールを注文。 ここに座るからよろしくね、と空いたテーブルを指しておじちゃんにウインク。 席につき、違うおじちゃんがあらためて注文をとりに来たので、さらに モツ煮込み、焼そば、ホタテ串と頼む。 いやぁ、さすがお祭り価格! これだけで2000円いっちゃうから。 この辺りだけすさまじいインフレになっております。 大して美味しくもないつまみを食べながら、お祭り気分に酔いしれて酒を飲む。 隣の席のお父さんはうんこにいったきり帰って来ないらしく、お母さんと子どものブーイングがおもしろい。 さぽはひとりの女の子にはまったらしく、しきりに「かわいそう」とつぶやく。 顔つきとか食べ方とかが、なんともかわいそうだと。  水の本の話で盛り上がり、ダムの貯水地でしずめられた植物が細菌のよい住みかとなり、増殖する細菌が土中の水銀化合物を吸収して、メチル水銀という百倍の毒性をもつものに変えられ、それが生態系のなかで濃縮され、魚の体内に入るのだという。 ダムは、人間を洪水の被害から守るのには大変すばらしいものなんだけれど、年に何回かの「洪水」というのは自然にとってはとても大切な、必要不可欠なサイクルだったのであり、それを人間の都合でなくしてしまうこと自体がそもそもでかい間違いなのだ。 だとするとほとんど全ての人間の生活の知恵とか工夫というのは何かしら自然に対して不自然な結果を招くことになり、自然と共存だなんていって山奥で生活してる人だって、少しでも人間的な生活をしてる以上ちょっとずつ自然のリズムは乱していて、だからといって人間がいなくなればというのもおかしくて、考える、宇宙を宇宙と認識する存在が消えたあとの美しい自然というのも、それはなんなんだ?ということになって、紅白の幕にかこまれながら、ふたり場違いな問題に頭を悩ませ楽しんだ。 となりの席のお父さんもうんこを終え帰ってきて、ブーブー文句をいわれながら家族が帰っていくさまを微笑ましく眺めていたら、その席にうるさい女子高生を含むでかいパーティーが流れて来たのでぼくらも退散。 さっき気になっていたカルメ焼きをひとつ買って、ふたりで変わりばんこに食べながら帰る。 しゃくしゃくして甘くて、想像以上にうまかった。 これでじゃりんこちえでカルメ焼きが出てきたときに、リアルな味が思い出せる。

しかしこうやって何万人という人間をいっきに見た日なんかにいつも思うんだが、それぞれが「自分」を「自分」とおもって「自分」として生きてるんだなぁと考えると、おもしろいというかぞっとするというか、なんとも妙な気持ちになる。 あの人もあの人も、それぞれが「自分」なんだよ。 すごいなー。 あの人の視界の隅にはいった、顔の細長いヒゲ面の中途半端な坊主がぼくなんだもんなぁ。 すごいなー。 それこそがぼくの「自分」なのになー。  

2003-05-09-FRI

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