No.266 カガミくん

最近さぽが「なんか外の猫がはいってる気配」を感じていて、ぼくはまさかそんなことはないだろうと思って気にもしていなかった。 ところが今日、仕事中にさぽから衝撃の電話が。 なんとさぽが家に帰って居間のドアを開けると、そこにはまるでこっそり逢い引きする中学生のカップルのような様子の2匹の猫。 ミミとカガミくんである。 なんとミミ、カガミくんを家に招き入れ、自分の食べ残したポリポリをご馳走していたのである! すごい!  マルちゃん(向の横山さんちの根性の曲がったような顔つきの肥えた雌猫)が近づこうモノならそれこそ鬼みたいな顔で死守する家の猫用入り口も、カガミくんが来たときはほっといて自分は出かけちゃう、なんて場面は何度かみていたが、自ら家に入れるほど仲良しだとは知らなかった。 電話口でさぽは「どうしよう!」と困った声をだすが、どことなくうれしそうな調子がある。 現場を見てないぼくは「ミミがお友達をつれてきた」という絵本のような楽しいイメージしかなくうれしいばかりであるが、実際目撃しちゃったらやっぱり「これはちいとまずいな」とリアルに思うだろうな。

カガミくんはトラをぼってりさせて野性味を加えたような風貌で、でも中身はシャイでちょっと天然という、なんともぼくらにとって魅力的な男子。 引っ越してきたばかりの頃は、その見た目から「ふてぶてしいボスキャラ」を勝手に作り上げて、うちの子らは殺されやしないだろうかと、ちょっとおっかない、プチ憎らしい存在だった。 でも最近よく庭に遊びにくるようになって、その愛らしい内面的な猫性がわかってくると、ぼくら愛さずにはいられなくなってしまった。 ミミが無警戒というのが、カガミくんのポイントアップのおおきな要素だったろうし、それでぼくがミミの見てる前でカガミくんにご飯をあげたのも、今度はミミにとって「しげちゃんもカガミくんを受け入れた!」という決定的なサインになったんだとおもう。 だのでミミはなにも後ろめたいものもなく、当然のようにカガミくんをランチに誘ったんだろう。 なんてかわいい。  しかしやはり、自分らがいない間に外の猫が自由に家を出入りしているというのはなんとなく気持ち悪いのは確かで、かわいそうだけどどうにかしないといけないとも思ってしまう。 いやまて、「なんとなく気持ちが悪い」くらいでどうにかするべきでもないのか? ミミだっていつだって好き勝手に外に出れるんだから、衛生的な問題なんていったら嘘だし、餌をあげてるといってもランチのポリポリの残りしかあげようがないし(朝晩のウェットは残さず一気にたいらげる)、ちゃんと考えれば考えるほど、カガミくんを家にいれないべきだという理由が無いような気もしてくる。 でもなー。 「なんとなく」ってのは危ないが、「なんとなく」をすぐに否定却下するのもなかなか危ない。 「なんとなく」思うってのにはそれなりにわけがあるからだもんな。 直感的な嫌悪感みたいなものはたいがいあとからつじつまがあって前後の説明が気持ちよくつくようになるもんだ。 しかしその一連の流れそのものが記号に支配されてるかもしれない(直感がなりたつように自分で無意識に都合をつけているかもしれない)なんていっちゃうと身も蓋もないが、身も蓋もないからとわかりやすく想像できる常識的な範囲で限定的に考えてたんではそれこそハナから、長いモノには巻かれろ的姿勢で、まさに記号の中の鳥ヨロシクで、うんぬんかんぬん… なんてとりとめない無限ループに酔いしれてる隙にも、カガミくんは今まさに家のぼくらの布団でミミと気持ちよく寝てるかも知れないと考えた時、正直、なんかたのしい。 うひゃ。  なんかたのしいわ。   つまりはこれが答えなんだとおもう。 すくなくともぼくは。    

2003-05-12-MON

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