No.288 強烈に天気がよかった

朝おきてまっさきに風呂場にいくと、よかった、パトちゃん(さぽがつけた)生きてる。 まだぐったりしてて余裕が無く、餌にも全然手をつけてないんだけど、とりあえずまだ生きようとがんばっていた。 で、会社に行ってしばらくして、パトちゃんのことも頭からすっかりはなれたころさぽから電話。 「パトちゃん死んじゃった」    ああ…

11時くらいから外で打ち合わせがあり、ちょうどお昼まえにおわったので、昼休みに家に寄った。 玄関には目が白くなったパトちゃんがいた。 ぼくは死骸をみると、「なるたけ早く土に帰りたい」といってるような気がしてしまい、このまま午後もここに放置しておくのは可哀想だと勝手におもって、すぐにスコップを用意して庭を掘り始めた。 このスコップはトラが死んだときに買ったやつで、なんだかこれじゃお墓専用スコップみたいだ。 トラの近くは恐ろしくて掘れないので、庭のまるきり反対側を掘る。 草の根がびっしりであんまり深く掘れないけど、パトちゃんの体なら30センチもあれば十分だろう。 パトちゃんの体を持って、裏返してお腹の方をみてみると、昨日は気づかなかった深い穴が足の付け根の所にあった。 これはどうみても致命傷である。 こんなひどい傷を負って、パトちゃんは一晩苦しんでいたのだ。 どれほど痛かったかをおもうと嫌でも顔が歪み、いっそ昨夜のうちにミミにとどめをさしてもらったほうが良かったんじゃないかとさえ思う。 パトちゃんを横にして、穴にいれて、手で土をかける。 パトちゃんの横にさぽが置いてくれてたおそらくバラ科のピンクの花を、パトちゃんのお墓の上に置いてみた。 で、なんだか良く分からないけど手を合わせて目をつむってお祈りみたいなことをする。 具体的な宗教をもたないぼくがなんとなくしてしまうこの行為はなんだろうという疑問や、いつものトカゲはこんなに丁寧に埋めないなぁとか(ゴキブリはすすんで殺す!)、お弁当食べたらスーパーマリオのギターを練習しようとか、さっきの打ち合わせの不安要素とか、いろんな雑念が頭をめぐり、パトちゃんにはわるいんだが全然集中できてなかった。 正直、悲しいという感じもあるんだかないんだかわからず、そこに実在した強い感情は、傷をみて「ものすごく痛そうだ」というのと、「強烈に天気がいいなぁ」というふたつ。 あとはさっきのような細かい雑念が無数。 ただ、「強烈に天気がいいなぁ」という感覚は、ほんとに心からそう思い、30秒くらい頭がからっぽになるくらい純粋にそう思い、死んだとか悲しいとか悲しいと思えないとかぼくも死ぬとかゴキブリは殺すとかさぽが死んだらいやだなぁとかそういうのをぶっこ抜いて、現実として、真実として、とにかく今このとき、「強烈に天気がいいんだ!」と、ものすごくはっきりとぼくの中に入ってきて、なんだかわからないけど「つまりこういうことなんだ」と、ものすごく納得がいった。 なににどう納得したかはわかんないんだけど、とにかくなにかがハッキリして、いろいろがつながった。 ほんとに天気がよかった。

2003-06-03-TUE

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送