No.305 MOTHER

ついにきました。 お昼やすみ5分前。 待ちにまった、不朽の名作「MOTHER」が! いわずとしれた、初代ファミコンの超良作「MOTHER」、そしてスーパーファミコンででたこれまた伝説の名作「マーザーツー」こと「MOTHER2」、この2本が一緒に入って、それが携帯ゲーム機で出来ちゃうってんだからスゴイね。 スゴイ。 当時、ちょっと目の肥えた子どもらはみんなこの異色作に度胆を抜かれたのだ。 みんなが王道「ドラクエ」や「FF」に大騒ぎをしている中、ひねくれた、早熟なガキはこの真っ赤なカセットに夢中だったのだ。 残念ながらぼくは「MOTHER2」からのファンでして、「MOTHER」の方は小学生の時になにかただならぬ異物感に心ひかれはしたものの、結局購入にはいたらなかった。 ダサい子だったんだろう。  しかし最近「ほぼ日」の特集をよんでると、どうも「2」よりも「MOTHER」の方が断然とんがってたらしく、こっちが好きだという意見が断然多いのだ。 あの作家やあの音楽家やあのお笑いや、業界のいいとこがみんな、ゲームはほとんどしないのに「MOTHER」は大好きだという。 いや、みんなはいいすぎた。 どういう風に好きなのか、どういうところがすごかったのか、何がそんなに愛されるのか、「2」しか知らないぼくとしては読めば読むほど期待はたかまる。 だって「2」だって相当とんがってたしおもしろかったんだから。 プロデュース糸井重里はもちろんのこと、音楽はなんとあのムーンライダーズの鈴木慶一! 大学時代、ぼくがどっぷりと傾倒してしまったあの変態。 作曲のバックボーンにはバカラックやヴァン・ダイク・パークスの名まであがってるからすごい。 どせいさんという無垢の権化みたいな人気キャラの性格付けの背景にはドストエフスキーの「白痴」のムイシュキン公爵がいるというし、他にもすごく魅力的なエピソードがいっぱいあって、この作品は当時の「ゲーム」という枠を完全にはみでてたんだろうな。  逆にこの歳になって「MOTHER」初体験ができるってのも幸せなのかもしれない。  その「MOTHER1+2」がついに届いたのだ!!

お昼やすみ、さっそくやってみる。 もちろん「1」から。  まず「絵」が抜群にかっこいい。 ドットの少なさを逆手にとったようなミニマルなアートワークに完全にやられる。 ドットや色数の不自由さが全く感じられない。 昔のドット絵に美を感じる傾向はたしかに世の中的にあり、他のゲームに関してもその不自由さにかっこよさをみんな見い出してはいるのだが、それは子どもの描いたピカソ的な要素を目の肥えた大人が面白がるようなモノで、作ってる本人は制限の中でいい絵を描こうと必死なわけで、けっしてミニマルを楽しんでいるわけではない。 子どもはほんとは写真みたいな絵を描きたい。 しかしこのマザーは当時から完全に確信犯であることがうかがえるような、考えられた頭の良いかっこよさなのである。 15年まえだよ? まだまだ世の中的にはプラスの美全盛期だよ。 エライ作品だ、ほんとに。 で、これはヴィジュアル的にも松木さん大好きだろうなとおもって、特徴的な画面をみせたところ、案の定ハマってくれた。 相当気に入ってくれた。 帰りに買うぐらいのいきおいで。 そのくらい「ある層」にはたまらないカッコよさなのだ。  夜、さぽにみせたらさぽもかなりかっこいいと絶賛。 いいものをいいとわかってくれる人がすぐ近くにいっぱいいるってありがたい。 まだほんのちょっとしかやってないから全然中身はまだわからないけど、もう雰囲気が間違いなく面白いことを証明してくれてる。 ちょっとしたテキストに感じる糸井の反骨と愛情。 「ヌーベルバーグ」を思わせる慶一メロディー。 純粋なファミコン時代への懐古的快楽。 いろんな気持ちいい成分がまじってまじって、エンカウント(敵との遭遇率)が異常に高い設定も全然ストレスにならず、ただただ楽しい。 幸せ。 ぼくはほんとに、最近の映画みたいなRPGよりかこっちの方が断然性に合ってる。 心から楽しい。

2003-06-20-FRI

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送