No.417 札幌2日目

ついに水曜天幕団千秋楽!!  一ヶ月前の苦痛に満ちた生活の中、たったひとつの希望だった(というか、地獄が日常となってしまったあの頃は、まさかそんな日はやってこないだろうというぐらい夢のようなものに感じていた)この、水曜どうでしょうスタッフ、HTB、ナックス周辺が阿呆のように力をいれて催されるというテント小屋芝居「蟹頭十郎太」が、ついについに「今夜」というところまで来たのだ!!!  すげーーー!!!  すでに現場は昨日下見をしているので、あとは時間どおりあの場所にいきさえすればその夢のような時間ははじまってしまう。 うわーーー。 ほんとにかー?? うわーーーー。 もうほとんど気持ちはミーハーモード。  さて、昨日はあいにくの雨降りで存分に札幌散歩が楽しめなかったけど、今日は天気予報どおりの「まぁ、晴れ。」 朝ホテルの窓から「基本的に青い空」が見えてほんとにほっとした。 てる子(我が家の昔からお世話になってるてるてる坊主、雌)、ほんとにありがとう。  身支度をととのえ、ホテル内のレストラン「ライラック」にて朝食。 ぼくはこのビュッフェスタイルのホテルの朝食がとても好き。 パン中心の第一陣を終え、第2陣は和食。 しょっぱすぎない鮭と納豆がいける。 で、すぐに散歩。 天幕団以外とくに予定のない旅なので、こうして好き勝手あるいて札幌を生に感じることができるのがこの旅の楽しさ。 昨日の夜雨の中帰り道にとおった「大通公園」に改めて出陣。 この「大通公園」は東西にずーーーーーーーっと長く伸びた通りとも公園ともいえるとっても素敵なところで、噴水やベンチや花壇や樹木や滑り台といった公園要素がほんとにどこまでも道のように続いていて、露店なんかもでててきっと年中お祭りみたいな雰囲気で、かといって賑やかというのでもなく、いわゆる「公園」の人口密度、雰囲気を保っていて、ほんとに気持ちがいい。 趣味のいいアウトドアな御夫婦(やらしくない感じね)が犬をつれてるのが良く似合うみたいな。 公園のはじっこまでひたすら西に歩き、端にある古い素敵な建物のウラにまわるとそこはさらに素敵な、生い茂る木で全体が日陰になった、ぼくの大好きなタイプの暗いじめっとした公園で、ここでも夫婦が本をよんだりお弁当ひろげてたりして、隅の方には丁寧に丁寧にストレッチしてるおねーちゃんがいて、ぼくらもしばし小休止してその場を楽しんだ。 もし札幌にすんでたら間違いなくここで本を読むななんて思いながら、また大通り公園を東に引き返す。  つづいて北大へ。  ただ歩いてるだけでもうふたりして幸せいっぱいで、本気でこの街に住みたいという話に盛り上がる。 植物園を右にして北に向って歩き、北大の敷地の南西の端にさしかかるところが道路に動きがあって気持ちが高ぶる。 こういう「質のいい都会」を感じたときには自動的にキリンジのニュータウンが頭の中に流れることになっている。 あーおーぎーみーる、ビール、そーさ!  さて北大。 テニスコート脇を抜けてずけずけと敷地にはいると、その圧倒的な樹木の多さにやられる。 半端じゃない。 キャンパスというか、森。 なんだこの素敵な学習環境は! しかもところどころに残る、古い煉瓦造りの校舎がすごくカッコよくて、半端に紅葉したこの色とりどりの森に実に良く似合う。 すばらしい! 鴨のあふれる沼まである!  そしてなんといっても広い!!!! ひとつの「市」ぐらいあるんじゃないか??てなぐらい、どこまでいっても終わらない。 あいかわらず森だし。 さすがに足が疲れてきたのでサッカー場脇でUターン。 自販機でスープとココアをかって休憩。 有名らしいポプラ並木を目指して、すでに痛い足をひきずり歩く。 たどりついたポプラ並木は落下や倒木の恐れがあるためと、侵入禁止のロープがはってあった。 が、ほんとに綺麗で、日本じゃないみたいに綺麗で、みんなそのロープなんぞ無視してどんどんはいっていってた。 ぼくらはその脇のちょっとした沼をかこんだ、ふかふかした土のくねくね道を歩き、横から平行してポプラ並木を楽しむ。 これは赤毛のアンの世界である。  東側の正門から出て、コンビニへ。 「殺し屋1」の作者の最近の漫画を立ち読みしてちょっとはまる。 札幌駅を北口から南口に抜け、そのままホテルの交差点まで歩いてそこで左折。 こんどはひたすら東にむかって歩き、サッポロファクトリーへ。 ここにはいってる「麦羊亭」という焼肉屋でジンギスカンを食べることに決めてた。 ここの特製の未ろ過のビールをたのみ、乾杯。 カルビとサガリとラム肉がセットになったコースを頼む。 ラム肉ってうまい! 風味がすごくいい!  このビル、なんだかアウトドア大推奨みたいなビルで、その手の店がいっぱいはいってる。 ちょっとひやかして、さすがにつかれたのでホテルに戻る。 あんまり飛ばすとメインディッシュが楽しめなくなってしまう。

小休止をとり、いよいよメインディッシュ。 地下鉄にのってHTBへ。  今度は着込む。 なにせテントの中で2時間以上座りっぱなしで芝居をみるのだ。 サイトではできればダウンレベルの上っ張りを着てこいとのことだった。 ぼくもさぽもモコモコになって向う。 「例の公園」を横切り、HTB入り口前にいくとすでに数十名、並んでいるというのでもなくウロウロ。 ぼくらがついてほどなくして、チケットとパス(首から下げる桃色のID)の交換がはじまった。 これを首からさげてると、テント小屋の出入りが自由になるというもの。 そしてパスの次は「お土産袋」をもらう。 黒いしっかりとした(デザインもしっかりした)紙の、取っ手付きのバッグに、天幕団特製ミニTシャツを着せたミネラルウォーター、天幕団特製ストラップ、天幕団特製折り畳み座ぶとん、天幕団特製蟹カマサンドイッチなど、いつもながらとても出来のいい品々。 とにかく全てがしっかりしてる。 びっくりするぐらい行き届いている。 スタッフの動きや、システム、全てにおいて惚れ惚れするほどしっかりしている。 頭のいい、気持ちのいい人たちが集まって、丁寧に、誠実に、一生懸命にやれば、こんなにもしっかりやれちゃうのだ。 もうこの天幕小屋周辺に漂う気持ちのいい空気がうれしくってうれしくって、うれしいったらない。 会社のどうでしょうファンにたのまれたグッズを買って、ぼくらもパンフレット(これも印刷物としてかなり出来がいい!!)を買って、まだまだ開演まで時間があるのでHTB社屋へ。 中には人だかり、中心にはなんと侍バージョンのONちゃん!! 一ローカル局のキャラにしてはあまりにも完成されたキャラ「ONちゃん」。 さすが、中にはいってる人もかなりのキレ者。 みんなにきゃーきゃーいわれて写真撮影してたとおもったら、急に「ビクっ」と中腰に構えて、槍を構えて「キシャーーーー!!!」と威嚇をはじめた。 ぼくとさぽはこの愛らしいキャラから発せられた、エイリアン的恐ろしさの「キシャーーーー!!!」が面白すぎて、完全に心を奪われた。 さすがHTB。 ぬいぐるみの中身まで手を抜かない。 他の行動もすべてセンスよくふざけていて、破綻キャラとしての質が極上で、芝居も含めて最終的に一番面白かったのはONちゃんだったという結論に、のちに落ち着くことになる。 1時間ほどして、ようやくテント小屋の中へ。 中は映画館のようにちゃんと一段づつ高くなっていき、横一列20数席で3ブロックに別れたものが20数列ある。 540席といってたかしら?  席にいっておどろいたのが、全ての席に、膝掛けと座ぶとんタイプのホッカイロが用意してあり、ホッカイロは開場1時間前に開けてくれてたからしっかりあったまっており、もうその完璧な気配りにただただ感激するばかり。 マイクでいろんな注意事項を説明してくれる人も、ものすごくちゃんとしていて、しっかりおもしろくて、膝掛けはおみやげじゃないからもっていかないでとか、ホッカイロの上手な使い方とか、携帯はほんとにきってくれとか、そういうことの説明の仕方がとってもうまい。 機械的にいうんじゃなくて、その都度その都度ちゃんと地に足ついた「自分の言葉」で考えて話す。 だから聞く方もしっかり「意味」として聞くし、理解して納得するから、当然ゴミをすてるひともいなければ携帯も絶対ならない。 これなのよ! これ! 当たり前のことが当たり前になされているこの素晴らしい空間!! たまらない!!! ここにいるだけで、ただただ幸せ。 こういうレベルで生活したい。 こういうレベルの仕事がしたい。  天井には照明器機やさまざまな特種効果の装置などがぶら下がっており、いやでも期待が膨らむ。   7時5分前。   照明が落ち、拍子木の音が聞こえ、ざわめきが一瞬で消える。 全員に緊張がはしる。   そして聞き慣れたあの声。 そう、藤村Dの声で、あらためて前説と挨拶、いっきに会場は盛り上がる。 ちょっと前に、藤村が後ろのスタッフ席にいることに気付いたぼくらや他の数名の客が、ちらちらと、しゃべる藤村を見たくてのびあがって後ろを見る。 うわ、あのやつがほんとにしゃべってる!  いつもの調子でしゃべりきり、そして拍手。    数分の間。    静寂と暗闇。    さぽは「時間ぴったりにはじまるらしい」という情報をもっていて、暗闇のなか、時計を見つめる。   そして7時ちょうど。 ほんとにぴったり7時に、静寂は破られた。 ついに待ちに待った、水曜天幕団「蟹頭十郎太」がはじまった!!!   さて、内容はDVDを楽しみにしている人がいるかもしれないので書かないけど、なかなかおもしろかった。 休憩をはさんで3時間にも及ぶ大作、のわりには短く感じた。 どうでしょう好きが喜ぶネタがふんだんに盛り込まれていて、道民でなければわからないようなタイムリーなものもあって、でも雰囲気でおもしろくて、ずーっと幸せな感じでみれた。 まあいったらベタな話し、ベタな展開なんだけど、「それでいいんだな」、と思わせるものが確かにある。 正直芝居そのものは「ものすごくおもしろかった!!!」というにはちょっともの足りない内容だったけど、始まる前からの雰囲気とか芝居中の全員の(客もふくめて)共有感とか、そういう全体的なことがとても新鮮で面白かった。 ほんとに楽しかった。  そして最後に思いがけないことが。  テントからでるとき、ふたつのレーンがあり、右側のレーンだけはどんどん進んでいき、ぼくらのいる左のレーンはいっこうに進まない。 なんだろうとイライラしはじめたとき、そのわけが分かった。 なんと、テントの出口で藤村と嬉野さんがみんなに握手して見送ってくれてたのだ!!!!  すげーー!!!!  うれしい!!!!  ミッハ!!!!!!  どきどきしながら順番まち。 ほんとは写真を取りたかったけど、ここでフラッシュたいちゃったら絶対にその後の呼び水になって、それこそ今までのクリーンな流れに水をさすとんだ野暮だというおもいがみんなの中に在り、すくなくともぼくらがいる間は写真合戦にはならなかった。 さぽは藤村に「やせられてー(この企画で8キロ痩せたらしく、ほんとに見た目にスリムになってたのでそれをねぎらった感じで)」というと藤村は「やせてますよー、ぼくは」みたいなことをいって、いつもの感じで返してきた。 ぼくはただただ「おつかれさまでした」といって、それには「ありがとうございます」と。 嬉野さんはおもったよりも若々しくいい男で、ぼくもさぽも意外だった。 おつかれさまでしたいがい言葉がみつからず、特に印象づけることもできずに握手してばいちゃ。 べつに印象づけることもないんだけど、どっかでどうしても「おれはしげるだわたしはさぽよ」といういやらしさがあるじゃない、人って。 ねえ。  で、もう大満足で帰ったの。 雨の中、駅に向う時もにっこにこ。 いっこ前の駅で間違っておりてもにっこにこ。 一度ホテルにもどり、にっこにこで駅前にでかけ、12時だというのににっこにこで酒のみ。 グデグデになってホテルにもどり、着替えもせソファーで寝ちった。  ほんっっとに、すげー楽しかった。 夢のような一日だった。 そしてえらく疲れた。

2003-10-19-SUN

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