No.596 ためされた

ぜーぜーくるしくって遅刻しちまったてすぱい。 それなのにいく医者いく医者先生がいなかったり休みだったりで結局コンタックさんてすぱい。 昼ごろ出社しようとでかけると、ちんと頭のあったかいおじちゃんだかおばちゃんだかわからない不思議な地球人が突然話しかけてくるてすぱい。 「500円玉2枚いれたんだけど、でてこねぇんですよ。」 「ピンポンしても、でてこねえんですよ。」「せいちゃんはいるとおもうんですよ。」「ただ損しなきゃいけねえんですよ。」「とてもこまってるんですよ。」 「近所のおばちゃんにいっても相手にしてくれねーんですよ」 すごく独特のイントネーションで「〜ですよ」のところを話す。 つまり、ちょっとあったかい彼だか彼女は、仕事の休憩時間にぱしりか自分のかわからんけどタバコを買いにこの自動販売機までやってきて、お金をいれたんだけどまんまと吸い込まれてしまい、設置してある家のピンポンをならしてもどうも留守らしく誰も出てこなくて、せいちゃんというのはこの家のじいちゃんのことらしく、じいちゃんはいるとにらんでいるようで、しかしぼくの見た限りこの家は完全に留守で、あったかい彼だか彼女はあったかい故になんだか自分がだまされているような悲しい気持ちになってしまってその純粋な心がひどく混乱しているみたいで、全然関係のない近所のおばちゃんにうったえてももちろん相手にしてもらえず、これじゃ、ただ1000円損するだけだという不合理に静かに怒っていたわけなのです。 それでついまるで関係のない病身のぼくを呼び止めてしまったわけなのです。 しかし奇遇にも、ぼくはこういう純真な獣みたいな方々が大好きでほっとけない性分ですから、出来る限り協力しようという気持ちになって、一緒に家の留守を確認し直したり、自分のコインをいれてリアクションを確認したりしてみたけど、どうも完全に故障中で、しかも家も誰もいないみたいで、どうにもしようがないと判断。 1000円ぐらい貸してあげようかともおもったけど、こういうあったかい人達は気持ちと社会的約束ごととが分離しているような気がして、それはよした。 よして、「今はどうしようもないから夜にでももういっかい来てちゃんとこのこと話なよ」といったら無言で「うん」とうなづき、「じゃあ、いくからね」と確認すると、また無言で「うん」とうなずき、あっちから手を振ってくれたから、ぼくとしては出来るかぎりの誠意をつくせたなと納得がいったので後ろ髪ひかれることなく会社に出発できた。 そしたら数分後の交差点で、信号待ちをしていると、左からぼくのいる道路に右折してくる車の様子がおかしい。 なんと人が運転席の外からハンドル操作しつつ人力で右折してくるじゃないですか! 無事に右折はできたんだけど、そのまま後続車のじゃまにならないようにと、少し高くなった歩道に乗り上げようとがんばるも、ハンドル操作しながらの脇からのひっぱり力では、ちょっとのりあがってはまた戻ってとなかなかうまくいかず、しげぽ先生たまらずお助けにいって後ろから押して無事路肩におさまり、その間に信号がかわって後ろの車をとめてしまったのですかさず車に乗り込み発進。 こんな短い時間にたてつづけにとってつけたような人助けを迫られるシチュエーションが用意されて、いったいこれはなんだろう?とワクワクしてくる。 ドラマなら今助けたふたりがこれから面接する会社の社長の秘蔵っ子とじいちゃんで、みたいな感じ。 残された短い距離でもう一回あったら本物だなとおもったけど残念ながらあとはなにもなく、他にかわったことといえば日焼けした頭皮の皮がぼろぼろと剥けてきて、金田一真っ青のふけふけ状態になってしまったぐらいで、なんだってことはなかった。 なにか変わった面白い日になる合図だとおもったんだけどな。

2004-04-15-THU

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