No.622 特訓初日

ついに屋外で存分に振ることができました! 風切り音が思いの外すごいです。 シュビファッ! シュビファッ! 高村光太郎展をみてきて、そのあまりのレベルの高さに興奮状態のさぽ(しげぽうちゃんも絶対に見ないとやばいというので是非いきたい。そういえばひさしく「本物」をみていない)、これから河原にいくことを想像して玄関先でシュビファッ!と竿を素振りする興奮状態のぼく、うんと美味しいご飯を食べて、さらにさぽからうんと美味しいおみやげまでもらって興奮状態のミミ。 安原家が、ずざまじい興奮と幸福で包まれる夜。  夕食後、勇んで馬見ヶ崎の河原にキャスティング特訓にでかける。 最初竿をつないだ状態でもってたんだけど、大きな通りを横断しなきゃいけないことを思い出し、やられ、こそこそと3つにばらす。 河原には幸い人気が無く、しかし同時に当然あかりもなく、ロッドをつなぐのがなかなか大変。 リュックにキャスティングの図解が載った本をもってきたんだけど、とても読めない。 というかこう暗くちゃラインがどこにあるのかもわからず、練習にならないんじゃないかと不安になる。  まあハウトゥーは繰り返し繰り返し穴が開くほどよんだのであとはそれを体で実行するだけ、心配するのはやってみてからだっつって早速前方にフライラインを7メートルほどのばして地面において、そしてそのフライラインがおさまっている先のロッドを緊張して構える。   静寂。   自分自身を裏切るような唐突さで勢いよくビュバッと振り上げ、本を信じて1時の位置で腕を止める。  うまくふれているのかも、ラインがどこにいったのかも、なんだか全然わからない。  わからないので、今度は前に、ズヒャッと振り出し、10時の位置にビダッと止める。  本当ならループを描き、そのループをほどくように前方にピャーーッとまっすぐ伸びていくはずのラインが、ふわりとぼくの体に落ちてくる。  全然だめだ。  まず、ロッドの慣性を全然操れていないし、しかも面でふらなきゃいけないのに左右にぶれまくっているのもわかった。  しばらく前後にふるが、やはり根本的に振り方を誤解しているようでラインはふにゃふにゃおちてくるばかり。 気付けばリーダとラインがこんがらがって先に塊ができていて、これはやばいとほどきにかかるが暗くて手元が見えなくてどうにもならない。 これがほどけないと竿がばらせないので帰るにも帰れないってんで明るいところに移動し、なんともみじめな気持ちで時間をかけて丁寧にほどく。 なんともみじめな気持ちはなんともセクシーな気持ちであり、このシチュエーションたまらん!なんひとりで勃起。 勃起もいいが、そうでなく、ぼくはちゃんとキャスティングがうまくできるようになりたい。 で、暗いし、あまりにもお粗末だし、ラインは出さないことにして、素振りして研究することにした。  シュビファッ! シュビファッ!  なにか違うような気がする。 もっとしなりを体感できる気がする。 まだ力が逃げている気がする。  何回も何回もいろんな変化をもたせて試してみる。 そのうち腕がだるくなって肘が痛くなってきた。  こんな力一杯やってちゃ体がもたねと思い、基本を無視してかなり適当にふざけて手首だけで振ってみる(本来手首はあまり使わない)。  すると、なんだか今までにないグニャリンパというねばりっこいしなりを感じた。 ん?! その感覚を忘れないうちに、そうなるエッセンスを集中して分析して、それを基本に忠実な形に当てはめて考えて、いろいろ試してみた。  「シュビフェンヴァルファッ ビュンビュン」   すっげーしなった。   後ろで手を止めるときに「ぶるん!」とアニメ的な大げさなイメージで意識して止めたら、今までにまったくなかったすごい反発力を感じたのだ。 「きた!!!!!」  その感じが気持ちよくて、猿のように何回も振った。 身に付いてないから気を抜くと全然その感覚にはならず、ちゃんと集中してぶるんを意識すると確実に「シュビフェンヴァルファッ ビュンビュン」。   前がむずかしく、なかなか後のときみたいに強い反発力をつくれない。 本だと後がむずかしいという話だったんだけど、コツをつかむにも個性があるのだろう。  部分的な解釈が間違いだらけだとしても、この反発力の手応えは絶対に間違いないものだと確信した。 あとはこれを根っこに置いて、手首の角度や軸のぶれ、大げさすぎる「ぶるん止め」なんかを修正していって、一番理想的な形に近づけていこうぞ!  たのしい! 肘いてー!   家に帰るとさぽが玄関先にいた。 「見に行こうとおもったら帰ってきやがった」と。 ミミもうれしそうに出てきて、なんだかとても楽しい状況なのでしばらく向かいの駐車場で3人であそぶ。 夜中。  もいっかい竿をつないで復習。  でかける前と明らかに音が変わった。 「シュビフェンヴァルファッ ビュンビュン」が緑町2丁目にこだまする。  これを絶妙なタイミングでつないで連続で前後させてラインをどんどん出していく「フォルスキャスト」の感覚が、ここにきてリアルにイメージ出来た。 よだれ。

2004-05-11-TUE

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