No.648 洗礼



ついに川に入りましたよ。 すっげー楽しい! 川を、好きなように、ジャブジャブ歩けるんですぜ! 今まであきらめてたあのカーブの先に、ジャブジャブ進んでいけるんですぜ! 見たことのない景色がどんどんあらわれるんですぜ! もうね、釣りとか抜きにして、こんな素敵なことはないと思いました。 こんな秘密道具、もっと前に買っておくべきでした。 ウェーダーはちっといいやつ買ったからぜんっぜん蒸れないし、靴もフェルトがはってあるのでぜんっぜん滑らない。 流れと水圧をのぞいたらまったくいつもと変わらず歩けるの。 すごく冷たい水なのに、しばらく立ち込んでようやく涼しく感じてくるぐらいだし。 いやー、すごい! 楽しすぎる!  さて、釣りの方は予想どおり祭り状態。 もうね、釣りになんないの。 フライは最初の壁があまりにひどすぎて、乗り越えられず楽しくなる前にやめる人が多い釣りらしいけど、ほんとにこれはよっぽどのマゾか、楽しくなった後の強烈に楽しいビジョンがなんらかのきっかけでよほど明確にみえてるかじゃないと続かないと思った。 苦痛の量と質が娯楽のそれをおもいっきり超えている。 ほんとに釣り以外の余計なトラブル、手続き、イライラが満載で、ほとんど苦しみにいってるようなものだった。 しかし前情報でその「洗礼」は知っていたし、そもそも覚えていく課程の苦痛は人一倍大好物なもんで、終始、シコシコハァハァシコシコハァハァいってそのイライラを喜んで受け入れていた。 他人のだらしなさとか意識の低さでこっちが被害をうけてイライラするのは体が裏返って勢い余って元にもどってしまうほどだいっきらいだが、自然の摂理や自分の足りなさによって生じるイライラは、とても正しいのでとても気分がいい。 自然の摂理を十分に考えて考えて考えて工夫すれば必ず解決できることを知っているし、自分の足りなさを克服することはとても楽しいことだ。 フライをやる人は、間違いなくこういう考え方の人だと思う。 表面的な面倒くささにくじける人はほんとに絶対に続かないから、この偏見は間違いないと思う。  6時前に入渓して、先週いった滝まで釣り上がる予定だったんだけど、途中の小さい滝がどうしても越えられず、断念。 木に結わえるロープみたいなものが必要だと痛感。  仕方ないので釣り下がる他無く、魚は流れに対して上を向いているからもうこっちの存在バレバレで、というかそもそも初の川歩きのわりには流速も水量もハイレベルで、安全に歩くのに気を遣ってたらストーキング(魚にばれないようにこそこそ忍者のように歩く)なんてとても出来なくて、釣り上がっている時からバリバリ警戒されて魚の気配が全然なかったのだが、とにかく入渓点まで下がり、さらにそこから下り、全部で0.6キロぐらいを往復したんだけど、この川、川幅が広いところでも8mくらいなので、左右の木が川の上を覆っていて、まともにキャスティングできるところがない。 川も石がゴロゴロで、倒木やなんやの複雑なストラクチャー満載で、ロケーションとしては最高の渓相なんだけど、初心者が釣るにはあまりにむずかしく、ニンフ(幼虫を模した沈めて使う毛針)は100%根掛かりするし、いいポイント見つけてもそこら中に伸びた枝でとてもキャストできないし、近距離ながらうまく流せても(ドライフライはポイントの上を自然に流してやって魚に虫が流下してるとおもわせて食べさせる)近すぎる上に流れが速いもんだからすぐに流れ終わってしまうし、長いラインは冗談みたいにしょっちゅうロッドにからみつき、それをほどいていると今度はフライが勝手に流れてしまって5メートル先で何かに引っかかってて、それを取りにいくと突然の深みに腰まで水につかり、腰に巻いてたバッグが水浸しになり、そんなこともどうでもいいくらい死ぬ気でフライを救出すれば今度は根元に余裕をもって出しておいたラインが流れにひっぱられて、根元が引っ張られるからフライはしゅしゅっとロッドの先まで収納されてしまい、それをまた引き出すのも一苦労で、とりあえずラインをあまり出さないことにしようとリールで巻き取ってると、その巻き取る反動で知らずに円を描いて回転してた竿先がまたしても先から垂れていたラインをぐるぐると絡みつかせ、やっとのことで落ち着いてキャストすればちょっとの左右のズレで後方の枝にフライがからまり、届かないから引っ張るしかなくて、ひっぱれば貴重なフライはブチリと切れて無くなり(これが一番へこむ)、苦労して新しいフライを結べばラインをガイドに通してなかったことに気付き、もういっかい結ぶのはいやなのでイライラしながら一個一個のガイドに針をくぐしていき、さあ、今度こそとポイントを見つけようとちょっと竿から目を離せばまたぐるぐると絡みつき、ほんとにトラブルの無限ループ。 ここまでひどいと面白い。 だからちょっと木の切れ目をみつけてここなら8mくらいのキャストができるっつって角度を慎重に考えて、綺麗にフォルスキャストでポイントにフライを落とせたときは感動だった。 こんな当たり前のことがようやくできた。 そしてちょうどその瞬間、そのまさに狙っていたポイントに、今日初めての「ライズ」を確認。 いるんじゃん!! ついに、ついにこのポイントでようやく「フライフィッシング」ができると、興奮してバックキャストし直すと、「ビン!」   最後のライトケイヒル(信頼できる定番ドライフライで今日一番のお気に入り)を、木にひっかけてしまいました。 終了…

昼すぎ帰宅。 すぐに創夢館で借りたフライのビデオを見る。 まさに知りたかったトラブル回避がいくつかでてきて大興奮! さらに似たような小渓でちゃんと釣っているのをみて、むくむく勇気がわいてきた。 今すぐもう一回行きたい気持ちを抑えて、河原でキャストの練習。 さぽも椅子をもってチボー。 偶然かおりちゃんに会う。 かおりちゃんの友達が河原で釣りをしていて、こんな下でも釣れるんだなーとときめく。 夜はさぽとふたりでいつものピッツァと昨日の激旨サラダと、手作りハーブソーセージを作り、本当はワインがのみたいところだけど、果たしてほんとにアルコールである必要があるのかと、実験的にペリエとウィルキンソンのジンジャエールで代替してみると意外にいけて、これからは特別な時以外はなるべく酒をひかえようということになり、楽しく夜をすごしますた。 今日も一日が長く、そして濃かった。 メルクリーガーの「エッセンスオブキャスティング」も丁度もりあがってるところに届いちゃうもんだから大変。

2004-06-06-SUN

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