No.654 ぼーずながら

天気予報が0-6時、降水確率90%というから、すっかり今日の釣りはあきらめていた。 おきると9時過ぎ。 どよんとした暗い外の雰囲気を感じ、やだなーと起きだし、カーテンをしゃっとあけてびっくり。 外はなんとも気持のいいお天気じゃない! さっきの暗い雰囲気は天気予報のフラシーボか。 まあ6時から3時間はすぎてるから天気予報どおりその時間帯は降ってたんだろう。  さて、こうなると悩む。 今日は一日ゆったり過ごそうと決めていたんだけど、こんなむっとした6月の休日、釣りに行かないてはないんじゃないのか? まず風呂にはいり、じっくりカラマーゾフを読みふけり、2時間ぐらいで満足し、あがって気持よくなってカレーをたべる。 ほんで最近ちょっとまたおもしろくなりだしたサッカーゲームをして、ときたま天気を確認してうなずく。 意を決して、モチベをあげるべくフライのこないだ借りたビデオをもう一回みる。 狙い通り、爆発的にモチベが急上昇、一気に準備をして、いざ、馬見ケ崎川上流へ!  道がせまく、入渓ポイント近くの駐車スペースをみつけるのが一苦労で、主要なポイントはすでに先行者の車がとめてあっておけないから自然と上へ上へと行くほかない。  音楽をとめて、徐行で注意深く走る。 川の音が近くなったところでちょっと横に余裕があるところに車をとめて降りて、まずはなにももたずに探索。 獣道がしっかりできていて、人の行き来する気配がはっきりと残る林をおりていく。 川。 個人的な吊り橋がかかっていて、有刺鉄線でおおわれた扉が閉められ、「関係者以外危険なので渡らないで下さい」みたいなことがかいてある。 その脇から下に降りるワイルドな道というか崖があり、注意深く3点支持で降りる、というか落ちる。  川。  やった。  まさにという渓流。  しかもこないだいった萱平川とちがって川幅があるからしっかりキャスティングできる。 「釣りになる!」  急いで車にもどり、ウェーダーを来て竿と道具一式もってまた川。 天気はどんより曇ってきて、湿度も異常に高くなってきた。 ここはダム下流2キロくらいなので、放流で水かさが急激に増すおそれがあるからあまり無茶できない。 雨がふってもしサイレンなったら即退散くらいの気持でいかないと、ぼくの場合死ぬ。  しかしこの天気、釣りには最高なのだ。  前回の釣行で短くなったリーダーをでかい岩にすわって取り替える。 こんなシチュエーションで「ネイルノット」がすらすらできちゃうようになってることにちょっとうれしくなる。 つづいてティペットをサーなんとかノットで結び、最後にエルクヘアカディスをユニノットで結ぶ。 おどろくほどスムーズにできた。  さて、いくか!とおもった瞬間、なんと皮肉なことに雨がふってきたがった! 今までならかなりここで落ち込むところだが、ここ2回の釣行で信じられないぐらい忍耐力がついたぼくは、「やっぱりこうなるか」と、ちょっと面白いぐらいだった。 しかしどうしてもちょっとだけフライを流したい! こんなチャンスはない! つーことで、川には入らず、岩づたいでバックスペースを確保できるとこまで川中央に進み、対岸のいかにもポイントらしいところにキャスト! が、例のごとく川から飛び出した枝に引っ掛かる。 いきなりか!と、さっそくのアクシデントに四苦八苦してるうちに、いつのまにか雨がやんだ。 雲を注意ぶかくみると、フォトショップの雲模様みたいな雲が全面にあって、それがゆ〜っくり風に流されている。 そして色の濃いところが通過する時に雨が10分前後降る、という仕組みらしい、今日の天気は。 それなら川の水量だけに注意しとけば雨は無視していいなと判断。 よし!  注意深く、後ろの枝だ前方の障害物の角度だ気にして、キャスト。 今度はうまくいった。 イメージ通りフライを流せた。 ラインの扱いも、この一週間具体的な質問をあらゆるところでぶつけて勉強した結果、見違えるほどスムーズになって、トラブル率が前回比80%減! すごい! これだけでぼくはうれしい。 移動の際のラインやフライの状態も、いろんな人の経験則や自分の状況を考えて試行錯誤した結果とてもうまいことやれるようになって、ほんとうにうれしい。 そうなるといままで目がいかなかったいろんなことに注意を払えるようになり、相乗効果でぐんぐん全体がスムーズになっていく。 それでもおこるアクシデントにも、回避方法をじっくり考えることができるし、どうしてもある確率でおこってしまう類いのアクシデントというのも判断がつくようになってくるから気持がいい。  ひとりできたというのも大きい。 自分のペースでじっくりしつこく解決していけるというのは大事だ。 川の流れは昨夜の雨のせいかけっこう速く、比較できないからあれだけど、水量も多い方なんじゃないかと思う。 だので恐いのでなるべく川にはいらないように岩の上をわたり、どうしようもなく腰までつかるときなんかも岩を楯にしたり(岩のすぐ後ろは流れが死んでる)、逆に岩の前に立って水圧を利用して岩におされるようにしてとにかく気を付けて歩く。 それでも何回か、比喩や冗談でなく死にそうになり、川の恐ろしさと、そして歩くときのコツがどんどん体に染み込んでいく。 こういうこと全てが楽しい! 自然のなかで人間の体をいかに使うか、というようなことを、身を持って覚えていきたい。  それで、ついに、魚を発見! やっと自然の魚をこの目でみることができました。 やつらもこんな流れの速いときは疲れるので、流れのおそい支流にまったりとしていたようで、それを読んでゆるい支流を釣り上がっていたら、足下を岩魚らしき魚影がつるつるとすべりあがっていきました。 うれしい!  ここは、ちゃんとうまくすれば釣れる!   その後も慎重に釣り上がり、基本は釣る気で短いラインでアップクロス(斜め上流をねらって)でキャストし、流し、そのポイントを潰したなと感じたらちょっと無謀な長さのラインをだしてキャスティングの練習もかねて遠くをねらったりとくり返し、当然なんどかフライは木にひっかかったり根がかりしたりと大変で、でもその都度忍耐レベルはあがり、対処もスマートになり、確実に成長することにこのうえない喜びを感じ、そうして気付けばあたりが青暗くなっていた。 今日ここにきたのは一度でいいからイブニングライズ(夕飯時になって魚が活性化し、水面上の水生昆虫をバシャバシャ食べ始める)をこの目で見てみたいというのも大きな目的で、ほんとに暗くなるまで残ろうと決めていた。 時間と比例して、どんどんまわりの明度が下がっていく。 もう偏光レンズは必要無い。 じっと身を潜めてライズしそうなポイントを眺めるが、いっこうにその気配はない。 どのくらい暗くなるまでまてばいいのかわからないが、そろそろ帰らないとライトもなにもないぼくは入渓点まで戻れなくなってしまう。 ギリギリまで粘るが、ライズはみれず、なくなく帰ることに。  帰りはけっこうやばく(枝とかつかんでよじ登っていくような道なので)、もうちょっと遅かったら見えなくなって迷っていたなと恐ろしくなった。 車につくと7時半を過ぎていて、せいぜい6時くらいだろうとおもっていたので驚く。

釣果はぼーずながら、しかし大満足で家に帰ると、ちょうどさぽを送ってきた公一さんが帰るところだった。 なにやらたくさんおみやげをもってきてくれたみたいで、いつもながら心から感謝。 わたくしたち、みなさまにいかされております。  すぐに風呂で体とウェーダーと靴を洗い、気持よく夜の空気を風呂上がりの体に感じ、超最高級そば粉で公一さんが打ったというそばを夕食でいただく。 ほんとにうまいからなにもつけないで食べてみというので、だまされたとおもってそのまま食す。       すげー        いまだかつて味わったことのない、とんでもない心地いい香りが口の中にぶわーと広がって、懐かしいみたいな感覚で胸がいっぱいになる。 なんだろう、ほこりっぽいとか、古い家の匂いとか、森のなかの匂いとか、苔むした寺の匂いとか、そういう感じの雰囲気がばばばっと連想されて気持よくなっちゃうような香り。 これはほんとにうまい! そばってこんな味がするのか? これが本当なのか? これは特殊な品種なのか?  たしかにこれはつゆをつけたり薬味をつけたりしたらもったいない。 天ぷらを食べてすぐにこれをたべたら味がわからなくなっちゃったくらい繊細なところで香っているから、天ぷらもめっちゃうまいんだけど、まずこれだけ続けて食べたかった。 で、いまないがしろにした天ぷら、これもすっげーうまい!  人参は実は葉っぱも食べれるってんでさぽが作ってくれた、人参の実と葉っぱのかき揚げ。 オレンジと緑の色も綺麗で、味も抜群。 オリーブオイルで揚げたのに塩だけで食べる。 うまい! いんげんも同じようにして食べる。 これもうまい!!  全部うまい!  デザートのヨーグルト(いまだカスピ海が生きている!)には、さぽが福島でつくってきたばかりのイチゴジャム。 これも抜群にうまい!!  ヨーグルトにはこの手作りジャムが一番だ。 ほんとにうまいんだから。  今日も大満足の一日を過ごせました。 それといういのも2連休のおかげ。 やっぱり基本は2連休だしょ、人間。

2004-06-12-SAT

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