No.701 咀嚼

もっとしっかり咀嚼しなきゃと、いままでになく強く感じてきた。 ぼくは昔からほとんど噛まないで飲み込むものの食べ方をしてきてしまったもんだから、当然唾液の分泌が不足してしまい、がぶがぶ水を飲みながら「流し込む」ような食べ方がみについてしまった。 当然顎は細く、やたら早く食べ終わる。 ここのところ少しずつ玄米を食べるようになって、よく噛んで食べるおいしさにあらためて気付いた。 50回も100回も噛むことで、いままで感じ取れなかった細かな甘みや風味が口いっぱいに広がる感じが、なんとも気持ちよく、なにより圧倒的に「正しい」ことが生き物の直感でわかった。 確かに長く噛んでいるとその反復行為そのものに飽きてしまうのだが、しかしそれも「早く飲み込みたい」という今までの感覚がベースになっていて、そのために「早く噛み終わりたい」という気持ちで噛んでいるのがそもそも間違っている。 噛むことそれ自体が幸せな「食」の行為のまさにメインなのではないか?という気持ちで一口一口意識して味や食感や唾液の分泌を確かめながら咀嚼してみたら、なにかがいっきにはじけた気がした。 それまでの「噛む」ということについてのイメージが、景色が、がらりとかわった。 ぼくの中での咀嚼革命である。 そして一度この感覚がわかってしまうと、今までのよくよく噛まないまま体内に放り込む食べ方がとんでもなく恐ろしく思えてきた。 咀嚼運動は消化活動の一部であり、食塊を粉砕し、消化液(唾液)と混ぜることで、消化管の入口での第一の消化作用を行っていることになる。 ぼくは今まで、その、もっとも重要な第一の消化行程を省いていたようなものなのだ。 消化器系の重要な内臓がひとつ不足していたようなものなのだ。 知らないってのはおそろしい。 さらにその「消化器系」としての働きは咀嚼の狭い見方のほんのひとつでしかなく、本来もっと広義の、身体全体に関わってくるすごい役割、意味があるのだけど、生半可な知識で調子にのるのはやはり危険なので我慢。  でもせっかくなので、咀嚼によってジャブジャブ生み出される消化液「唾液」の働き(構成成分の)だけでもちょこっと紹介。 まず「ムチン」。 これは食品を飲み込みやすくする以外に、食品の刺激を抑えて、胃の負担を軽くする。 「アミラーゼ」はでんぷんを分解する。「ガスチン」は味覚を敏感にし、食事をおいしくする。「リゾチーム」「ラクトフェリン」などは、侵入してきた細菌をやっつける。 中 でも「EGF(表皮成長因子)」と呼ばれるホルモンは、細胞分裂を促進する。 よく噛んで「EGF」がたくさん分泌されると、新陳代謝が活発になり、体が若返る。  ほんで特に最近注目されているのは、唾液に多く含まれる「ペルオキシダーゼ」(活性酸素の除去)の威力である。試験管の中の発ガン物質にこの成分を垂らすと、たちまちその毒性が消えてしまう。よく噛むことは、ガンの予防にもつながるのだ。  100回も噛むのは、単に食塊を細かくするという為だけでなく、唾液のそういった成分と、外界からはいってきた異物とをしっかり化学反応させる時間稼ぎでもあるのだ。 すごい!  つーことで、厳格な玄米菜食はぼくらにはまだ負担がでかすぎると思われるので、せめてなるべく怪しげなもの(白い砂糖や謎のような調味料や)を食べないようにするのと、どうしても食べたいという時以外無駄に動物性タンパク質をとらないのと、しっかり咀嚼することぐらいは心がけていこうと思います。 ちなみに今日の夕飯は普段なら10分食べ終わるようなカレーとサラダになんと「1時間」もかかっちゃいました。 しかもあまり時間をかけてしまったので途中で腹一杯になってしまって、なんと残してしまいました。 これは労せずして小食、粗食になるようになってんだわ。 一口ごと100回も噛んだらモリモリ食えたもんじゃないよ。   しかしそれにしても知らないことが多すぎる。  育ってきた環境が(家族も、学校も、地域も、国も、)最初からみんな(つきつめると)ビジネスのみにコントロールされているから、そこで育んだ知恵も、感動も、美しい、正しいと思っていた柱さえも、当たり前だとおもっていたことがすべて、全然生き物の本来の姿勢にそぐわないこのギャップ。 おぞましい。

2004-07-29-THU

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送