ずっとウイイレ８購入で悩んでいたくせに、「フットボールキングダム」というまったく別なサッカーゲームを購入した。　もはやコナミの独占市場となってしまった昨今のサッカーゲーム界に一矢報いるべく、あの、「プライムゴール」のナムコが、不気味なほどの長い沈黙を破り、魂をこめて世に送り出したのがこの「フッキン」。　すでに発売して数ヶ月経つのだが、ぼくはつい先日までその存在すら知らなかった。　やはり、サッカーゲームといえばウイイレをやっている人がほとんどという現状で、わざわざ誰もやってないものを買うリスクを負う人は少なく、当然売れ行きは芳しくないのだ。　しかもこのソフト、タイトルに「トライアルエディション」と付いている（しかも価格も3,000円台と破格！）ため、印象として「中途半端な開発途中のもの」を試作品みたいな感じでだしたんじゃないかと思われ敬遠されがちなのだが実はそうではなく、そこにはナムコの熱いクリエイター魂がこめられている。　かいつまんでいったらこのゲームには、ウイイレが表現しきれていない、「サッカーの本質的魅力=スペースを取り合うという根本的な戦略性」が見事に表現されている。　スペースを生み出す、また、スペースを見つけ走り込むCPUの高度なAI、あらゆる場所に、ウイイレでは考えられない自由度で出すことの出来るフリーパス、くわえてボールをもっていない選手まで動かせることで広がるプレーの選択肢の幅、ポジションの中にさらに「役割」の概念（《FW》でもSK:ストライカー、TGT:ターゲットマン、FAN:ファンタジスタ、MVS:ムービングストライカー、WG:ウイングなど、その能力に応じた役割によって動きがまったく異なってくる）を明確に取り入れ、個々の選手の試合中の動きの違い、思考の違いまで再現したことで、より無駄のない、リアルな戦術が可能になったことなど、革命的といえる様々な工夫をこらして、とにかく「サッカー」のおもしろさの「核」といえるところをいかにゲームとして成立させるかということに心血注いでいるのだ。　そしてその処女作の出来に十分満足しているものの、これが完成ではなく、あくまで始まりであり、ここからどんどんどんどん良い物にしていくんだという気持ちのあらわれとして、タイトルに「トライアルエディション」と付け、そしてこの自信作を、ウイイレユーザーにも出来るだけ触って欲しくて、この低価格が実現されたのだ。　　遊んでさえもらえれば、このフッキンのやりたいこと、唯一無二の面白さが絶対分かって貰えるんだという自信あっての値段である。　　ウイイレには前々から「コナミエフェクト」なる理不尽なCPUのパラメータ変動が噂されていて、それが嫌いでウイイレむかつくという人が少なくない。　CPUの思考の弱さを、能力値パラメータの増加で補うというものだ。　真偽は定かではないが、ウイイレをやりこんだものなら誰もが感じたことのある怪奇現象である。　こういった理不尽な補正はフッキンには皆無だ。　また、スルーパスが狙ったところにいかず、ありえない相手に出してしまう（コンピュータがなにを優先順位にパス先を決定しているかということなんだろうけど）ということもストレスの一因となっているのだが、フッキンのフリーパスは本当に完全なフリーパス（一切の補正がかからない。もちろん補正のかかるサーチパスも別にちゃんとある）なので、パスミスは完全に自己責任なので気持ちが良い。　　ところでこのフッキン、コントロールが90％くらいウイイレと同じ（このへんがナムコの賢いところ）なので、ウイイレユーザーはほとんど直感的に移行できる。　やる。　　　　　さて買って帰って寝る前に３ゲームほどしてみたのだが、操作が似ているとはいえ、やはり距離感とかプレスの感覚とかいろいろが別物のため、最初全然感じがつかめなかった。　しかもぼくはサッカーの戦略について詳しいわけでもなんでもないので、あらゆる補正から開放され「自由」になったとたん、なにをしていいのか分からなくなってしまった。　カトリックとプロテスタントみたいなもんだ。　いきなり自由をあたえられても実は大変という。　　いやしかし、この自由さがもたらしてくれるであろうとんでもない「楽しさ」の片鱗は十分見えた。　ラストの試合ではいろんなことが試せるぐらいに慣れてきて、いろんなことの意味がわかてきて、そうなるとめちゃめちゃときめいてきた。　このゲームは、ちゃんとサッカー勉強したらその分必ず強くなる。　サイトでの攻略情報も丁寧なので、じっくり「役割」の勉強をして楽しみ倒してやる。　まずは中学のころからサカゲといえば使用してきたオランダの戦術をしっかり理解し、そのフォーメーションが十分活かせるような戦い方を身につけるんだ。　うひゃ。

2004-08-24-TUE