No.782 7時間だけの一日

時差の関係でどのように書いていいのやら。  ハワイ時間での18日午前2時半、夜中にモーニングコールがあるってんで、今夜は寝ない方がいいなと判断。 武田さんと富田さんのところでビールをもらって変態話に盛り上がって帰ってきて、12時。 酔いがまわってちょっと気持ち悪いので、シャワーを浴びてリフレッシュ。 最後の夜は、感傷的になってじっくり散歩をして景色を心に刻む、というのが小さい時からの旅のお決まりなので、良い気持ちでそれに向かいたい。  1時、ひとりでワイキキの海岸沿いを散歩する。 昨日よりも人が少ない。 バイオリン弾きのじいちゃんもいない。 どこかで気持ちよく一本だけたばこを吸いたいと思いウロウロするが、まだ微妙に酒がまわっていて、今吸ったら気持ち悪くなる予感がしてなかなか吸えない。 ホテルの裏通りをぐるりとして、なにかとんでもないトラブルに巻きこまれやしないかと心のどこかで期待する。  なにごともなくまた表通りに出る。 ホームレス、といってもこっちのホームレスはやたら幸せそうで陽気でチャリンコなんかも持ってて、一見してそうは見えないんだけど、彼らのたむろするベンチの隣に座り、海を、夜空を、椰子を、通りを眺め、強烈な名残惜しさにやられはじめる。 と、背後から「Can you speak Japanese?」の声。 「日本語」を話せるかと「英語」で聞かれると、一瞬どう答えて良いのかとまどう。 振り向くと、いかにもサーファーテイストな、たぶん同い年くらいのがっちりしたあんちゃんが立っている。 「日本の方ですよね? ひとりで歩いてて心細くて話し相手捜しとったんです。 となりええかな?」 テンションの高い、しかし軽薄な感じのない、スキのないキャラ。 こういう意外性が好き。  彼は大阪人で発海外の発ハワイで10日くらい滞在するらしく、今日で2日目。 友達とふたりで来ていて、見た目の通りやはりサーファー、しかしサーフィンだけでなく、いろいろ見てみたい、こっちで商売してみたい、大阪の若い子らは終わってる、こっちはええ匂いがする、英語は覚えなあかん、様々な話題を、確かな知性と饒舌でもって操る。 中卒でもともとやんちゃだったようだけど、そういう人にたまにいる、頭の回るうんと誠実なタイプ。 賢い人とはちょっと話しても面白い。 ちょっと話しても面白いから、ちょっとどころではすまず、気付けば2時間も話し込んでいた。 気持ち悪くて吸えないはずだったタバコも状況が変わればスパスパいけてしまう。 近くにたむろっていたホームレスが例のごとくタバコをたかりにきたので2本あげる。 そしたらしばらくしてお返しにとでもいわんばかりに自分の吸っているマリファナを「吸うか?」と。 意外に律儀。    雪の話やたこ焼きの話や日本の将来の話やハワイの話などいろいろと話込み、3時をまわったのでそろそろ戻らなきゃと、彼と握手でお別れし、ワイキキのビーチにもお別れ。  部屋に戻り、荷物を準備していなかったため3時の回収に間に合わなかったことに気付くが、一緒の部屋の三沢さんのサーフボードを引き取りにもう一度回収すると知り、30分後くらいに無事に預ける。  集合時間が近づくと、急激に眠気に襲われ、まさに眠気のピークに集合、出発となってしまい、空港までのバスは非常に気持ち悪く、景色を楽しむどころではなかった。  空港についてから出発まで結構時間があり、暇つぶしに渡された弁当を無理して食べるとちょっと気分がよくなった。 ちょっとおくれて飛行機が到着。 もう眠くて眠くて眠くて、席に座るなり爆睡。 離陸も覚えてない。 時差のせいでぼくにとっての2004年10月18日は、この夜中の出来事だけとなった。 寝てる間に日付変更線を超え、19時間が一瞬で消えてしまうのだ。

2004-10-18-MON

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