朝から気が重い。　10時になったので緊張して病院に電話する。　内容はホッとするものだった。　昨日よりだいぶ元気になった。　おしっこも大量にでた。　でも入院して以来初めてのおしっこだから多かっただけかも知れない。　まだまだ全然普通じゃない。　とてもじゃないけど退院はすすめられない。　不安要素もたっぷりなのだが、しかし回復方向にあるということとおしっこが出たということがとてもうれしかった。　根拠はないが、ふたりして「なんだか大丈夫だ」と思えた。　　で、本当は会わない方が興奮させなくていいのだけど、心配でしょうからちらっと見に来たらと先生がいってくれたので、お言葉に甘えて面会。　台に乗せられたミミは死にかけたばあちゃんみたいな姿で、これだけ見せられたらほんとに回復傾向にあるのか信じられないような悲惨な感じだった。　しばらく聞いたことがないような悲痛な声で泣きじゃくる。　さぽが首をだっこしてあげるとゴロゴロいって安心した。　また２日後に退院できるかどうか様子を聞くことにして、家に帰る。　ちらっと気づかれないように見るだけのつもりが、おもいきり興奮させてしまった。　　実際に会ったらかなり安心し、心配心配いってじっとしててもしゃーないのでふたりで散歩に出かけることにした。

今日はすばらしい秋晴れ。　日差しが痛いぐらいに強い。　川の向こうの猫道の入り口にある小さな神社でミミの無事を祈り（猫道入口にあるので猫にやさしい神様に違いないということにした）、そのまま猫道を歩く。　なんだか最近新しい子が生まれまくったらしく、いまだかつてない、大量の猫たちと遭遇。　あっちからもこっちからも次々とおっきい猫やちっこい猫が現れて、数えたら全部で30匹を超えた。　こんな散歩、めちゃくちゃ楽しい。　　こころゆくまで猫たちを堪能し、続いて護国神社へ。　七五三の家族がちらほら。　足が痛くならない程度にふたりでフットバッグ。　さぽはストールがだいぶうまくなった。　うまくなると、自然とうごきも姿もかっこよくなる。　かっこいいうごきというのはつまりその動作が目的にかなった無駄のない動きであるということなんだろうなとおもう。　　はらがへったので近くのモアリッチでパンを買ってきて、また神社に戻り、昼食。　　食後、各々リュックに詰め込んだものを取り出し、あそぶ。　ぼくは三国志、さぽは野菜の雑誌、ときたまパネポン、ときたまフットバッグ。　２時間ぐらい好き勝手に遊び、家に帰る。　　どーも２日ぐらい前から風邪ぽいぼやっとした頭痛があって、夕方になると体がだるくなる。　なにもやる気力が起きず、こたつにねる。　だるい。　こわい。　夕飯をたべるも食欲がわかず、ひさしぶりに本気風邪かとがっかりする。　　ぼんやりしながらこないだ録画しておいた「ピンポン」を観る。　意外とおもしろくてちょっと元気がでてきた。　さらにテレビで記憶についての番組をやっていて、それを見てたら無性にジョアンの三月の水の残りの歌詞を覚えたい欲求がわきおこる。　奥底から気力がわいてきた。　こうなると体の調子も出てくるからすごい。　　ジョアンの歌詞はポルトガル語なので、まずは徹底的に音で覚える必要がある。　音で覚えるには、まずカタカナで認識する。　耳で聞いて、一番しっくりくるカタカナに置き換え、それを書いて、カタカナ歌詞カードをつくり、それを繰り返し繰り返し繰り返し繰り返し馬鹿になるほど繰り返し歌って、頭に覚えさせ、考えなくても自然と歌えるようになるまでにする。　そしたらその自然と歌えるようになった自分の歌と、実際のジョアンの歌を聞き比べる。　そうすると、やはりどうしてもカタカナでは再現しきれなかった発音のところに微妙な差が生まれる。　今度はそこを修正して埋めていく。　最初からこれも完璧にやろうとすると、なにから手をつけて良いかわからなくなって、ちっとも先に進まない。　数度の段階を経て、どんどん荒削りからなめらかで忠実なモノに近づけていく。　そういう手法をこの耳コピによって学んだ。　第一の段階では、もちろん最終的なものとは違っていることは分かっているけど、しかしそれを完璧に身につける。　無駄が多いように見えるが、しかしいろいろためした結果、このやり方が結果的に一番早いし、挫折することなく最後には必ずかなり満足いくレベルまでいける。　ものを覚えていくということはそれにあったコツを身につけることがとても大事だとおもった。　そしてその新たな手法やある種類の忍耐経験というのは必ず他の場面でもいきてくる。　今日はめんどくさがって後回しにしてた、残り半分のカタカナ化をすべて完了することができた。　あとはとにかく歌いまくるのみ。　満足して風呂に入り、暖かいまま布団にはいり、三国志を見ながら寝る。　やあ、今日は昨日からは信じられないほど気持ちが安定してくらせた。　はやく元気になって帰ってきて欲しい。

2004-11-23-TUE