No.889 池澤おもしろいなー。

池澤の「南の島のティオ」がとてもおもしろかった。 児童文学として書いた連作短篇集なんだけども、これは大人がよんでも十分すぎるほど楽しめる。 根底に優しく(しかし頑固に力強く)流れる池澤の美意識、価値観、自然や民俗に対する態度がとにかく美しくて、それをギュギュギュとつめこんで体現したような最終話のククルイリック島からきたエミリオ少年があまりに素敵で、しかも名作「帰ってきた男」にも通ずる「世界の音(ある意味麻薬的、逃避的快楽)」までも操れるもんだからもうやばいやばい。 読んでいる間中ず〜〜〜っと幸せだった。 なんでこんなに気持ちいいのかとおもったら、どうもこの話はもともと仕事としてとか作品としてということじゃなく、ポナペ島滞在時にどんどん湧き出すアイディアを好きで書きたくて書いたものが始まりらしいのだ。 そりゃこういう風にすぅっと溶け入るようにはいってくるわけだ。 是非続編が見たい。 サザエさんみたいに永遠に年をとらない島民の生活を自分が死ぬまでずーっと見続けたい。 いい本だった。 さてお次はずっと前から読みたかった「真昼のプリニウス」だ。 火山専門の地質学を研究する、理学部助教授の女の人の話なんだけど、これまた冒頭から面白そうだ。 同じ作者を一時期に集中して読むのがやっぱり一番面白いわ。

2005-02-02-WED

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