No.912 カイマナヒラの家

今日は振休消化でお休み。 あえて連休にはしなかった。 変なリズムが欲しかった。

ハワイイに実在したらしいというとても魅力的な「家」が主人公の小説、「カイマナヒラの家」を読む。 ええ、池澤です。 行間が広く、マージンもすべて広めにとってあり、文庫ながらゆったりとした紙面で、ページも少なく、しかも見開きで写真がふんだんにつかわれているのでとても本文のボリュームがすくない。 これは本当にすぐに読み終えてしまうだろうから、静かで気持ちのいいシチュエーションをちゃんと用意して、丁寧に、集中して読もうと考えていて、今日の午前中の前半をそれにあてた。  想像以上に気持ちのいい、ハワイイの海の、そしてその家のもつ圧倒的に素敵な雰囲気が、いきなりすごい勢い・密度でぼくの精神にはいってきて、強烈な幸福感に、おさえてもおさえても顔がにやける。 この本をぼくはこれから何回も読むような気がする。 同じ「家」が主人公の本でも、保坂のカンバセーションピースは「家」についての哲学的考察が色濃く解けていてある意味で難解なのに対して、この本は、とにかくその家の「素敵さ」とか、その家での生活の「甘美」につきていて、ひたすら優しい。 コルビジェの、あの海辺の家の本を読んだときの、圧倒的に良質な「家」に感じるどうしようもないワクワクする気持ちを感じた。 「カイマナヒラの家」は、チャールズ・ディッキーという実在の建築家が、ハワイイの名門「アレグザンダー家」の依頼で設計・デザインした、いっけんそれほど大げさではないが、中にはいるとなんだかどこまでも広くて、ものすごく趣味のいい家で(屋根なんかは日本を思わせるかっこいいものらしい)、とはいえそれほどこまかに描写されてるわけでもないのに、やたらとそのぐっとくる感じがつたわってくる。 きゅんときて、幸せで、泣きそうになる。  昨年ハワイ旅行をしたときに、ぼくはその家のあるあたり(大体の場所は文中にしるされていて予想がつく。おそらくワイキキビーチの喧噪をダイヤモンドヘッドの方に逃れ、海岸沿いの道を時計と反対回りに1キロか2キロほどいったあたりだとおもう。右手に海、左手に山のうんと素敵な道。)を自転車で走っており、その時にまさにそのあたりの、観光地とはまるで表情の違う、あまりにも素敵な街並みや自然、そして立ち並ぶ、木々に囲まれたあきらかにお金持ちの住む広くて趣味のいい家々に大感激したのだが、たぶんそのとき感じた、ハワイイのもつ本質的な魅力が、この本の文章で完全に再現されていて、それがぼくの趣味嗜好理想願望にぴったりはまり、気持ちよく響いてきたのだろう。 実在したのなら是非見てみたいと、ネットで必死になって探したのだけど、残念ながら見つけ出せず、絶対にもう一度オアフにいって、あのあたりを今度は3日ぐらいかけて嫌になるほどねっとり散歩するぞと心に誓う。

ちなみに「カイマナヒラ」とは、ハワイイの言葉で「ダイアモンドヘッド」の意味で、「ダイアモンドヘッド」=「ダイアモンドヒル(ともいうらしい)」→「ダイマンダヒル」→「ダイマナヒラ」→「カイマナヒラ」 なのだそうだ。  すぐ麓にあるから「ダイアモンドヘッドの家」。  あああ〜〜〜!!! 見たい〜〜〜〜!!!

2005-02-25-FRI

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