No.891 DIC

DIC color guideのシリーズの中に「フランス伝統色」というのがある。 DIC color guideというのはミシン目の入った短冊形のカラーチップが何枚も綴られていて、全体は羊羹大の直方体という代物。 一ページごとに厳選された色(インクの調合によってできた「一色刷り」なので色が本物、鮮やか、リアル)がベタで刷られていて、ページをめくると前のページとはまるで違う色が現れ、それがどこまでも続く。  これを何も考えないで、ただひたすら、ズリズリずらして見ていくのがダイダイダイダイ大好きだ。 次々に現れる色の流れが与えてくれる刺激は、見たこともない外国の綺麗な田舎の風景が流れていく列車の車窓のように美しく(フランス伝統色ゆえか?)、ぼくの気持ちをわくわくわくわくそわそわそわそわうきうきうきうきむずむずむずむずはげしく揺さぶる。 それぞれの色が綺麗というだけではさすがにここまで盛り上がることはない。 このカラーガイドのなにがすごいかって、その並びが天才的に美しいのだ。 他のDICは部分的に近似色のグラデーション状の並びになっているものもあり、そうなると実用性は高くなるものの、この特別な美しさに関しては一気に魅力を失う。それぞれの色が、全く違う性格をもった色と隣り合わせることで、しかもその相性がいちいち抜群だった場合、その色に対する理解が、愛情が、何万倍にもふくれる。  無作為に、ある連続する5色を選びとる。 そうすると、どこをとっても、ほんとにどこをとっても、めちゃめちゃかっこいい配色に見本になてしまう。 ふつうこんなことは絶対にありえない。 5色も選ぶとなると、本当なら死ぬ思いで試行錯誤して、膨大な量の取捨選択を繰り返し、頭がこんがらがるのをなんとかクリアにし、見極め、それでも多少の妥協というかどうしようもないようなちいちゃな不満点が残る、というぐらい大変なことだというのに、なんとこのカラーガイドはどこをどうとっても、もう自分の意識したチョイスなんかすべて恥ずかしくて死にたくなってしまうほど、すごい5色が選び出されてしまうのだ。   このDICの仕事は、人間業じゃない。 あんまり真摯に、すごい高い能力を持った人たちがこの仕事に取り組んでいるのを見て、色の神様がついうっかり人知を超えたものが窺い知れるようなものになちゃうほどの力を貸しちゃったんだろう。 そういうものだけがもつ魅力というものが他にもあちこちにあるでしょ。

ああ! 去年に続いてまた忘れるところだった。 今日、3月3日は、我が家のうんとかわいがな、ミミの、5歳の誕生日だったのです。 普段は「耳が腐れ落ちるから」と食べさせてもらえないイカ天に、自分と同じ色をした生クリームのショートケーキ、それに太巻きを皿に盛りつけてあげたのだけど、あんまりおいしそうな「ニンゲン」の食べ物が皿にもってあるのに違和感を感じたのか、しばらく躊躇しておっかなびっくり食べていた。 段々加速して猛烈に食べ始めたものの、イカ天一人前やショートケーキまるっと一個はさすがに食べれるわけもなく、残りはニンゲンがおいしくいただく。 そのニンゲン相対年齢でいったらミミはもう35歳、マーカス説でいけば50歳である。 いつのまにおいこされちまったのか。 

2005-03-03-THU

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