No.984 イブニングライズ

朝からタイイング。 昨日買ったバックナンバーにC.D.C(鴨の尻の毛)の使い方が詳しくのっていたので、今までフワフワぺたぺた使いづらくて敬遠してたC.D.Cパターンにチャレンジ。 やり方さえわかれば意外と簡単だった。 この毛は細かい毛にさらにうんと細かい毛が生えていて、油分も多いため、見た目の華奢さとはうらはらにすごい浮力をもっている。 いいぞ。  お昼の弁当を食べ、昭和にギターの弦と、父ちゃんから頼まれていたクロマチックハーモニカを見にいく。 C調のHERINGというブラジルの老舗メーカーのハーモニカを注文し、ばら売りの弦を切れたところだけ(2弦か3弦かわすれたので両方)買い、そのまま馬見ヶ崎上流へ。 きのう情報をもらった4段堰堤の2段目のでかい鱒を見にいくが、中くらいのサイズしか見あたらない上、場所が場所だけにどうやって釣って良いのかわからずそこはスルー。 沈める釣りはまだノータッチなのでそもそもスレた深みの大物なんてのはむりだ。 ライズしてたらおもしろいんだろうけど。  ポイント移動のために車に戻る途中、なんだか綺麗な虫がたくさん飛んでいるとおもってみると、薄黄色のモンカゲロウがそこいらじゅうにいるじゃない。 意識して見始めたらほんとに尋常じゃない量で、これはどう考えても今日はこいつで釣れると確信。 そしてなんと昨日買ってきたマテリアルで巻いてきたライトケイヒルってのが、まさにこいつらにそっくりなフライでありやして、もうぼくは大興奮なのでありやす。 ただ、このモンカゲロウ、思いのほかサイズがでかく、ぼくの巻いてきた15番前後のフックサイズに当たり前に巻いたのでは半分のサイズしかない。 こういう時、フックサイズはあげずに、フックの後ろにはみだして虫の腹の部分を糸で固めていくエクステンデッドボディとかいうやつを作るらしい。 そういう先週買ったフライフィッシャーで覚えたてのことや、昨日つくったばかりのものがすぐに生きてきて、リアルのモンカゲロウを見れたりすることが幸せでしょうがない。 フライを始めてから、山の景色が、川の流れが、いろいろが意味をもってきて、見え方がこれまでとまるでちがってきた。 デザインを生業とすることで、いろんな文字や色や写真やなんかが勝手にすさまじい情報量で多角的にはいってくるように、植物や昆虫や水温や天気なんかがものすごく意味をもってきた。 というか、イメージでしかなかったそういうものが、ようやくリアルに感じ取れてきた。 人の都合による体系付けがリアルなわけはないのだが、そうしてつっこんで見ることで、関わり方の密度や濃度が急激に増し、立体的に見えてくることによって、自分がようやくその複雑さを複雑だと身体で受け入れれるようになったことが、リアルとの出会い、といった感じで。    車で下流に移動し、以前何回かいったことがあるポイントに降り、さっそくポイントをライトケイヒルで探る。 何回か流すと、ぼくのフライにか、あるいはたまたま凄く近くの別のなにかにか、でかい鱒がジャバっとジャンプ。 慌ててあわせるが魚はかかっておらず、なんなのかよくわからんかった、なんていってるとまたすぐ近くに違う魚がバシャッ! なんだなんだ? すげーな今日は、もしや爆釣か?  しつこく何回もそのライズのあったやや上流あたりを流すが、それっきりいっこうに反応はなく、仕方ないのでちょっとずつ釣りあがる。 が、この川の釣りはやはりぼくにはむずかしく、川岸は木や草や倒木がワサワサでとてもバックキャストなんてできないからどうしても川に対して平行気味にキャストする必要があり、向こう岸近くのポイントなんか狙おうとするとちょっと川の真ん中あたりにいきたくなるんだけど、流芯は見た目よりもかなり流れが速く、ちょっと気を抜くと足を取られて転倒する危険がまっていて、ものすごく恐ろしい。 かといって岸で無理矢理斜めにキャストすると間違いなくバックキャストで木を釣ってしまい、そんなことを気にしながらやってるとどうしても流したフライに集中できず、それでは釣れるモノも釣れないばかりか今度は川の中の流木なんかにひっかかり、とにかくトラブル多い多い。 連続でフライを無くし(苦労して巻いたやつを連続で5個ぐらいなくした…orz)、ここはちょっと釣りにならんと判断し、しばらく岸をあがる。 この道もひどい道(道なんてないのだが)で、枝をくぐり、岩をジャンプし、棘にひっかかり、倒木をよじ登りと、5メートル進むのにもめちゃめちゃ頭と体を使うようなところで、たまに川の方に降りてみてもどうも複雑な急流で釣りになんないようなところが続き、もうここらへんはだめだなとおもい、潔く見切りをつけてこないだ釣れた釣りやすいポイントに早めに移動することにした。  ほんとは日が暮れる頃にいって、イブニングライズなるものを経験しようとおもっていたんだが、いろいろ観察したり実験したいこともあったので予定より2時間はやめの移動。  で、その2時間で、いろんなことを試し、結果、あらためて自分の異常なトラブルの多さやキャスティングの未熟、フライの姿勢の悪さ(逆立ちしたり垂直になったりして流れていることが実はかなり多かった!)などに気付き、正直落ち込む。 前回釣れたのは、まさに偶々だった。 のではないか?  問題点が浮き彫りになってきたので、これから努力のしがいがあるというもんだが、しかし大変だ。   黒い虫が目の当たりにしつこくひっついてきて、うっとおしいとおもっていたら、隙をついてなんと目にはいってしまった。 そしてはいった瞬間にぺちょっという感触とともに、信じられないことだがその虫は液体になってしまった。 本当に。 さらにすこしして、またうっとおしいのがからんできたとおもったらそいつも同じ右目にはいってきて、また液体に溶けた。 なんなんだ、この異常な生態の虫は? 人の目にはいって液状に変化する虫なんて聞いたこともない。 で2匹目の黒が目に馴染んだと同時に、日が暮れてあたりがみるみる暗くなってきた。  ああ、そういう虫か。   そして始まる、期待のイブニングライズ。  ほんとにこんな気配のない川で突然狂ったように魚がバシャバシャ補食をはじめるなんてことが起こるのかっつって、ワクワクで見守る。   1分ごとに暗くなるのが分かるなか、待つこと数分。  パシャ。  パシャ。  いくつかしぶきが立った。  しかし川の流れで時たましぶきが立つところがあるので、それかもしれん。 パシャ。  パシャ。  パシャ。  パシャ。  いや、それにしてはなんとなく頻度があがってきたようなそうでもないような…   ボッジャン!  バッシャン! バップン!  はい、あきらかに、ライズです。 空中に魚体が見えました。 すみません。  もうこうなったらあとは目立つ白っぽいフライをライズの目の前に落とすだけ。  うしろの倒木のごちゃごちゃに気を付けて、しぶきの上流に流す。 流す。 流す。 出た! があわせれず。  出た! がまたあわせれず…    出た! ぱし!  出た出た、ほんとに出た! またしても小さいヤマメ、出た!  興奮して寄せたので、勢いで後ろの倒木にラインがからまってしまったが、そんなことおかまいなしで魚を確認。 ん〜、美しいヤマメだ。 かわいいヤマメだ。 ヤマメヤマメ。 ひとしきり愛で、ダメージの少ないことを確認し、すみやかにリリース。 元気に帰っていった。 まだライズは続く。 こうなったら尺狙い! としきりなおそうとして思い出した。 ラインが枝に複雑にからまっていたんだった。  早くしないとライズが終わってしまう、と焦りながら必死でラインをほどく。 やっとほどき終わったとおもったら、今度はフライが服にひっかかってしまってる。 しかも返しを潰してなかったもんだからなかなか抜けない。 く〜〜。      で、やっとすべてがすっきりした頃にはすっかり水面は穏やかに。  お食事時間終了。   ぬぬぬぬ。     今日は、とにかくいろいろ勉強になりました。 勉強になりすぎて、初めのほうで勉強になったことが思い出せないくらい、たっぷりと勉強になりました。 最後はイブニングライズというフィーバー状態下とはいえ、1匹つれたことだし、よかった。 しかもそのとき使ったフライが、昨日巻いた、そして今日ハッチをしっかと確認し、マッチングザハッチをちゃんと意識して使用したライトケイヒルってのも嬉しい。 自分で巻いたフライで釣れるってのは、10倍楽しい。 自分で考え出したフライで釣れるのは100倍楽しいという。  ぼくはきょうこの川におけるモンカゲロウを手にとって、10分ほど観察し、しっかとその素材感、サイズを頭にたたき込んだ。 来週はモンカゲシゲルヤマメスペシャルで、100倍楽しい爆釣。の予定。 ぐふ。

2005-06-05-SUN

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