No.1004 サンガツが山形にきた

忙しい1日だった。 昨日クリークの店長から釣りのお誘いメールが来たのですっかり舞い上がり、午前中は自分の巻けるフライのレパートリーを巻けるだけ巻く。 ひさびさのタイイングだが、やっていない時間も身体の中では上達しているもので、やけにスムーズに巻けることに驚く。 昼飯の準備だけした状態であえてコヤマなどに買い物にいき、腹ぺこで帰宅。 ちゃんす特製トマトとオリーブの冷製パスタをおあずけ後の最高の状態でいただき、大満足。 夏はこういうのがしみる。 全身にしみわたる。  明日の時間も場所もなにもわからないので、昼寝したのちちゃりんこで出かける。 クリークには店長がおらず、佐藤さんと一組の客。 店長は月山に山菜採りにいって迷ってしまい、まだ帰れないのだそうだ。 大丈夫かよ。 子連れの夫婦の客はこれからイブニングの釣りにぼくのホームリバー馬見ヶ崎川にいくらしく、エルクヘアカディスはでるかと聞かれたが、聞く相手が間違っている。 未だメイフライのパラシュートでしか出たことがないぼくは、他のいかなるフライパターンにも信頼をもてないでいる。  結局予定が立たないので、明日は佐藤さんの方の接待釣行に一緒させてもらうことに。 ぼくとしては店長でも佐藤さんでもだれでもありがたい。 しかも行く先は馬見ヶ崎川。 まだ知らぬ川というのもいいが、ぼくとしてはこの川一本をまず極めるぞというつもりで通っているので、そこに経験者とともに入れるってのは実に嬉しく、期待がたかまる。

さて、今日のメインイベント、サンガツのライブ。 なんとあのサンガツが山形にくるってんで1ヶ月前から盛り盛りと盛り上がっていたのだけど、どっから前売りが買えるのかがちっともわからず、前々日になってアキヤマ隊長の伝手でようやく2枚ゲット。 当然さぽといこうと思っていたが、不幸にもメンス2日目と重なってしまい、気づいたらビチャビチャってのもまずいねっつって泣く泣く断念。 で、サンガツ知ってて一緒にいて楽なのは誰かしらっつって周一を誘うことになり、6時に会場sandinista前で合流。 アキヤマがなかなか現れず不安になるが、リハがだいぶ押しているらしく、ちょっと安心。 しばらくしてアキヤマ他2名が到着、無事にチケットをいただく。 1時間押しもまあそれほど苦にならず、ほどなくして開演。 一組目はひさしぶりに再開したたっちゃん(芸工同期で同じゼミだった)のバンド。 サンガツと対バンって、すげーことだ。 というか、そもそも何バンドでるのかも知らずに、サンガツってだけできたのだが、なんと聞いたら7バンドも出るというじゃない。 1時間押しで、1バンド持ち時間30分で、間にセッティングの時間もあって、いったい終わるの何時になるんだ? ぼくは明日、朝5時にジャバの駐車場に集合で、しかも予定では寝る前にアリをいくつか巻いていこうと思っていたのに…  しかし当然サンガツはトリでして、どうしたって最後までいるしかない。 まあいったら全部楽しいことなんだから、場合によっちゃ徹夜もやむなしとはらをきめて、アキヤマ情報でつまらないバンドのときは体力温存で外でご飯たべたりラウンジスペースでおしゃべりしたりして時間をうまく使う。 アキヤマの知り合いがギターをやっているゴーシュというバンドはかなりの実力派ポストロックバンドで、アルバムリーフあたりを彷彿とさせる音づくりにプラスもっとキャッチーな展開、リフなどに加え、女性ボーカル、そしてVJ。 ただ、うしろのふたつは無い方がいいんじゃないかというのがぼくの勝手な感想。 昔から、基本的にこの手の音楽に乗ってるボーカルは常に「本当に必要か?」とおもってしまう。 ムームにしても、シーアンドケイクにしても、最近のマイスパレードにしても、やっぱり「歌」が邪魔。「歌」をのせるというのはよりよいものを目指して吟味したというよりは、乱暴に最初に「スタイル」を決めちゃった感がどうしてもする。 で、それもふくめて今日出演してた人らに共通して感じたのは、すごいがんばってて演奏レベルも実行力も高くてすごいのに、なんというか、「肝」の部分が真面目すぎる。  真面目はいい意味での真面目さ、正直さとはちょっと違う、「変態性の欠如」としての良くない真面目さ。 こういうとんがった表現をする人が、変態性を欠いたら元も子もない。 極端なこといえば、「変態」ひとつでかなり上までいけるくらいのもんで、それにさらにすざまじい技術がともなうと「本物」となる。 そういう意味で、今回の主催バンド「SHIFT」は素晴らしかった。 音楽も、まとったオーラも、あんまりかっこよくてびっくりした。 山形に、こんなレベルの高い、ちゃんと変態を操れる人らがいたなんて! 普通こういう人を食ったような垢抜けたキャラは、演奏レベルや趣味嗜好が微妙にぼさっとしているもんなのに、この人らはその両方をちゃんと高い鋭いレベルでもっている。 そしてそのうれしくてうれしくて、気持ちよくているところに、たたみかけるように、ついにサンガツ登場。 サンガツの物販のところに妙におもむきあるインテリ臭く不良臭くニートっぽくも垢抜けた人らがいるなと思っていたが、やはり彼らがサンガツだった。 この人ら、露出がほとんどないのでビジュアルが全然わからん。  しかして期待通りの、「普通っぽいかっこよさ」の頂点みたいな5人が、後ろにふたつ並んでツインドラム、前列にギター、べース、ギターと全員椅子にすわるという、ものすごくクールな布陣で登場。 ほどなく演奏がはじまる。    これがはんぱない。     かなり大好きだったはずなのに、ファーストなんてそれこそ擦り切れるほど聴いたはずなのに、ぼくは全然サンガツの実態を捉えきれていなかった。 ものすごくセンスのいい和製ポストロックくらいにしかみていなかった。 この人がやろうとしているのは、まぎれもない、ファインアートだった。 演奏中の眼差しに、奏でる音に、このかっちょいい音楽でちいともてちゃろうなんていう軽薄さは微塵もなく、完全に、音と、曲と、音楽と、全霊でとことんつきあえる人らだけがもつ、例の寒気がするほどぐっとくる「気」を放ち、冷静な表情の奥で、自分らの作り上げている芸術にかなり高いところでのオルガスムスを感じる恍惚の漏れ(押し隠しきれないオナニーの汁)がまたセクシーで、みているこっちはもう男はピンコ、女はネトリ、普段意識的には絶対出来ないであろう横8に縦16という複雑なリズムで身体を揺すり、会場全体が異常なまでの興奮、快感に包まれる。  新譜から2曲、ファーストから1曲。 それにアンコール1曲。 アンコールはトーンチャイムというらしい、ひとつ一音の楽器を次々に持ちかえての演奏で、ポストロックのライブというよりも、なにかインスタレーションアートを見ている感じで、最後にあえてそういうことやって(素直なフェードアウトとしてでなく、明らかにいびつなトーンダウン、一般的な素直な流れと比べればね)、ある意味で盛り下げて帰るようなその価値観が、なんだかとても共感できた。 あそこではああするのが一番「サンガツ」であり、きれい。  大満足のもとに会場をさり、チャリンコで深夜の街をかっとばして帰る爽快。 たまらん。  家につくともう2時。 明日は遅くとも4時半起き。 必要最小限の準備をして2時半、しかし身体も心も興奮していてなかなか寝付けず、結局1時間ちょっとしか寝れんかった…  まあたまにはこういう無茶もありだろう。

2005-06-25-SAT

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