No.1040 初ダッチ

晴れた! やはりぼくら、晴らす。 家には心強き晴らし専門の物の怪の類もいる。  準備万端で河原へ。 予定していた橋の下まで駐車場から何往復かして荷物を運び、調理場セッティング。 すぐ近くには猫好きなリアルキャンパー(ブルーシートを石でおさえ、なかにフレームらしきものがあるかなり立派な自宅をもつ)も住んでいて、楽しい。 慣れない炭おこしに四苦八苦しながら行程を考えて全体的な準備を進める。 無印の形態スピーカーにipodをいれ、全曲ランダムにしてあるので、斬新な曲のつながり(ドビュッシー→キリンジ→ハービーハンコック→ムーンライダーズ→英語の教材の会話文)が楽しい。 鍋をプレヒートしつつ、蓋をガンガン熱し、フライパン替わりにして詰め物を炒める。 詰め物はタマネギ、レバー、レーズン、パンなど。 なかなか炭だけではジュージューいうほど蓋があつくならず、必死で空気をおくったり炎を上げるものをくべたりする。 なんだかんだとおもったより時間がかかり、鍋をあたためてた方の炭もだいぶ小さくなってきたので新たに炭おこし。  炒め終わった詰め物を鶏の肛門からパンパンにつめて、串で縫いつけ、鍋にいれる。 はじめの60分は下火のみで、弱火で放っておくのだが、炭についての経験が少ないぼくらはどの程度が弱火なのかがわからず、どうもこれじゃ弱すぎるんじゃねーかとさらに炭を追加して頻繁に灰をはらって空気をおくる。 しかし炭ってのは消えてるようにみえる(灰をかぶって白くなって見た目には全然あつくみえん)ぐらいが熾きとしてはとてもいい状態らしく、この時点で大きな間違いをしでかしていた。 途中ちょっとずつ野菜をいれていき、60分経過したところで蓋の上にも炭を乗せる。 これも弱火。  予定の90分が経過して、蓋をあける。 実にうまそうな色、匂い。 野菜に串をとおしてみてちょっとかたかったのでもうすこしおく。 10分後、鍋をおろし、蓋をはずし、一安心。 ぼくは蓋の余熱で目玉焼きをつくったり、鶏からでた汁でつくるスープのためのお湯を沸かしたりして、ちゃんすはなかなか来ないマーカスにメールをうつ。 これがまずかった。 DOの蓄熱を忘れていた。 ぼくら的にはできた料理が保温された状態で放置されてる程度の感じだったが、DOの場合火からはずしたからといってすぐに冷めるわけではなく、しばらくは火にかけていたときと同じような温度を保ち、ゆっくりゆっくり冷めていくのであって、つまり蓋をはずして放置していたということは、どんどん水分が逃げていく環境でまだまだ熱し続けたようなもんで、そもそも強い下火+10分追加で熱し過ぎていたところに、さらにそんなことをしてしまったその結果は悲惨なものだった。 「鶏からでた汁」なんてなものは一切残らず(遅れた一因にスープづくりの準備もあったわけだがその汁が皮肉にもその準備のせいで無くなった)、底には腹が完全に黒く焦げ付き、はがすと詰め物がぼろぼろこぼれ落ち、しかしそれでもなんとか皿に移し、ようやっとワインで乾杯。 味は。  ………。  パサパサ。 口に入れた瞬間すべての水分が奪われるほど、パサパサ。 ササミよりもササミらしいってなぐらい、パサパサ。 口に入れていて辛い。 詰め物は比較的水分油分とも残っていて、まぁ美味しい。 野菜や目玉焼きはとても美味しい。 しかし鶏はまさに拷問。 遅れてくるマーカスにいいところ(位置的にそれでも比較的ジューシーな部分)を残しておこうと、ぼくらは拷問箇所を率先して食べる。 つらい…  しばらくしてやっと現れたマーカスに食べさせるも、鶏についてはほぼノーコメントで野菜がうまいと。 かは。  まあ最初の失敗はある程度予想していたし、作る行程そのものが尋常じゃなくおもしろかったので今日は勉強ということでいいじゃないか。 素早くDOにメンテをほどこし、マーカスと卑猥な形の軍手でふざけたり石を投げたりテントの話をしたりして午後の時間をすごす。

夕方、日本語の教室があるからとマーカスが帰り、ぼくらは場をひととおり片づけ、椅子とテーブルだけを残してくつろぐ。 午前中から川に夥しい数の小魚がいるのが気になっていて、我慢ならず家に戻って釣り道具を持ってくる。 藪だの倒木だのない下流域は非常に釣りやすく、アプローチが知らぬ間にそうとう上達したことに驚く。 それにしても尋常でない好反応で、ポイントに流すと、ほぼ100%、パシャっと反応がある。 釣り堀以上の無垢さである。 まちがいなく食らいついてるんだけど、しかしいっこうにかからない。 あわせがへたくそなんだろうかといろんなタイミングであわせるも、まったくかからない。 流れるフライにパシャパシャパシャっと水面をすべるようにいつまでもついてくる魚をみて、「ああ、魚が小さすぎて(フライが大きすぎて)、食べれないんだ」と気づく。 たしかに魚影はほとんどが10センチも無いような小さなものばかりで、釣れそうなサイズは滅多にみかけない。 結局2時間ほど粘り、100回以上のアタックがあり、釣り上げたのはハヤ一匹。 外道とはいえエルクヘアカディスではじめて釣れたのでうれしかった。 さらに食い気さえあれば(そしてスレていなければ)フライなんて定番はずさなきゃなんでもいいんだということもわかった。 すべてに同じように反応があった。 いやいや楽しかった。   日も沈みかけ、くたくたに疲れて撤収しているところにリアルキャンパーが帰ってきた。 自転車のかごからニャー。 生まれてまもない子猫が目やにで目が開けないよー暗いよーやだよーと鳴いている。 猫好きのフジオさん(仮)は山大正門でこれをみつけてたまらず拾ってきた。 お仲間がふたりあとからやってきて、みんな心配そうに猫にあつまる。 ぼくらも気になってそこにいってみる。 みんなとても優しい人らで(社交辞令みたいなのが一切ない、犬猫のような純粋な親しさで)ぼくらがいっても何も警戒せずにすっと輪にいれてくれた。 うんと素直すぎて、気持ち悪くて社会にいれなかったんでしょう。 猫は目をきれいに洗ってやるとかろうじて見えてはいるようで、みんなとても喜んだ。 子猫はなぜかしきりにぼくの股の下にはいってきたがる。 そこから相当セクシーななにかがでているんだろう。  暗くなって撤収があやういのでサイナラして帰る。  体がとても疲れたのと汗でびっしょりなのとで、飯田温泉へいくことに。 熱い湯に30分ほど浸かり、すっかり疲れと汗を落とし、風呂上がりの半端ない気持ちよさをポカリの喉越しとともに味わい倒し、今日を終える。 非常に充実した良い休日だった。  来週も同じ場所で、今度は何を食べようか。

2005-07-31-SUN

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