No.1066 骨付き鶏モモ肉の葱蒸し

夜中の2時3時にシュパっと閃光が瞬いて起床。 何事かとおもってまず自分がテントで寝ている事を了解し、続いて外に複数の若者の気配を確認。 なるほど、花火か。 こんなおかしなところで寝ているのはこちらの勝手なので、夜中に起こされて腹が立つなんてことは一切なく、むしろこの真夜中のステキな光と音のショーがこの日常から離れた異常なシチュエーションをことさら際だたせてくれるようでありがたいぐらいだ。 しかしよく、ヤンキーがテント泊している人をわけもなく襲撃するなどという不条理な話も耳にするから、その危険に注意しつつ楽しむというなんとも緊張感のあるショーだったことは確か。 もし少しでもこちらの癇に障るような無粋をしてきやがったら過剰防衛で殺害してやろう。 つまらない無駄な血を流し、その後悔で終わる我が人生、さまざまな興味の連鎖はすべてその不幸への布石だったわけか、うふふ、なんて楽しんでいるうちに、善良な市民による健全な花火の音と光の中、ぼくは再び安らかな眠りについた。

5時に目が覚め、すぐさま堰堤に向かう、が、やはりダムの放水が続いているらしく、とんでもない水量、そして濁り、とてもこの状況で釣りになるようなタックルも知識ももちあわせておらん。 釣りはあきらめ、ちゃんすとふたり、お茶と朝食。 こういうときガスバーナーてのは夢のようにありがたい道具である。  この場所は近所の人の良き散歩コースになっていて、6時を過ぎた頃から善良そうなおじちゃんやおばちゃん、犬などがたくさん現れはじめる。 こんなに朝からたくさんの知らない人たちと挨拶をかわすこともなかなかない。 あらためてふたりで唐松観音にのぼり、うんこがもれそうになったのでぼくは慌てて先に戻り、便所で見たこともないような奇妙な蜘蛛に出会い感激し、どうも空模様が優れないので昼に予定してた料理は家で作ることにして早々に撤収。 あらゆるものが朝露に濡れていて、片づけに多少難儀する。

家に帰り、濡れたフライを干し、昼ご飯の鶏の葱蒸しの下拵え(鶏と葱を紹興酒と塩、胡椒、生姜、花椒のタレに漬け込んだ状態にして冷蔵)してから、畳の上でじっくりとヨガ。 どうも背中が痛い。 昼前にふたりでナナビーンズに箸展を見に出かける。 魅力的な箸がたくさんあって目移りしたが、竹の節が上の端についた、竹箸のスタンダードな形のものを2膳取り置きして帰る。 バンブーロッドのように、三角の断面を6つ組み合わせて六角の断面にしたとてもシャープで粋な竹箸があって、ふたりうっとりしたが、8000円もしたのでスルー。 コヤマ、ジョイで買い物して家に戻り、昼食の準備。 ダッチをガスコンロで暖め、底にザク切りした葱を隙間無く敷き詰め、下拵えしておいた食材をその上にのせて蓋をし、強火で蒸気がでるまであっためる。 蒸気が出たら弱火にして20分蒸す。 火加減がこのように自由自在な「ガスコンロ」というものの便利さを、本当に心からあらためて実感する。 ぼくはこれまでうっかりすると、便利なもの全てに否定的な気持ちになりがちだったが、それは実は違っていて、はじめっから便利なものにあふれた状態で当たり前のように過ごしていることから生まれる、世界の実態との妙なギャップに気持ち悪さを感じていたのであって、その便利さが、どのように便利で、どんなにありがたいものかをしっかり実感しながら、最低限の原理くらいは理解して(別にパソコンを一から作れる知識やスキルを全員がもつ必要はないと思うが、なぜ電気の力でこんな魔法みたいな事が起こっているのかというところに疑問や好奇心をもって自分の程度に合わせてそれを理解しようとするぐらいの気持ちをもたない人はなんであれその道具を使うべきではないと思う。)、そうして感謝して使う分にはその事そのものは便利さにおぼれる汚らしさとはまるで違った健全なことなのじゃないかと思えてきた。 不便をしって、便利(の実態)をしる。  鶏を蒸している間に、これは餅米で食べたらきっと美味しいということで餅米にちょっとだけ古代米をいれたものを炊くというちゃんすのGJ。 で、20分後に蓋をあけるとなんともいい香り。 これは失敗しようのない料理だ。  当然昼からビールで乾杯。 鶏、めちゃうま。 無水鍋的にダッチを使う料理なので、鶏自体(骨付きてのが肝!)からでるエキスとタレの紹興酒でじっくりと蒸され、とてもよく味が染み込み、さらに花椒の柑橘的な香りがものすごくうまいことはまってて、やばい。 味付けは塩胡椒ぐらいなので淡泊なものなんだけど、葱がとろけながらタレを吸っているからそれと一緒に口にほおりこむと、もうたまらん。 しかも餅米が合う! これは確実にスタンダードナンバーいり。 やばい。 試しにコチュジャンをつけて食べたらこれがまたうまい。 昼から阿呆みたいに肉を食べてしまった。

どうにも背中が痛いので、久しぶりにじっくりとぬるま湯につかる。 昨晩ひとり肝試しした際、知らずにブユだか虻に刺されまくっていたらしく、暖まったら全身の刺され痕がズキンズキンと痛み出した。 血なら吸わせてやるからこんな痛くすんなよ。 そんな痛くなったり痒くなったり毒みたいなもんじゃなくもっとこっちも気持ちよくなるような物質で凝固抑制できるような進化すればもっと美しく共存できたのに。 この長風呂でやっとゆっくりアンナ・カレーニナが読めた。 まだアンナも出てこずよくわからんが、しかしすでにおもしろげ。 風呂からあがり、24時間テレビで丸山弁護士の走りを応援しながらグダグダと過ごす。 背中だけでなく腕や肩、首まで身に覚えのない筋肉痛のような鈍痛。 しんどいので早めに寝た。

2005-08-28-SUN

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