No.1234 ちゃんす27

今週はネックになってた仕事をガシガシ片づけられたのでとても気持ちが良い。 イヤイヤ逃げとらんでおもいきってやっちゃうといいのねん。 今日は午後から明朝体の時にでてきた例のサインについてのすばらしい考察を書いたG○デザインのK氏と、芸工大で打ち合わせ。 初顔合わせでこちらの作ったカンプをみてもらうので、とてもワクワクする。 どんな人かしら。  時間が早かったので図書館で本を見て20分ほどすごし、で、約束の生産棟へ。  準備室には男の人ふたり。 ぼくがはいっていくなり、あ、打ち合わせの人だ、というリアクションをどちらもしたので、「こんにちは、Kさんは…」というと、線の細い、眼鏡でセンター分けの物腰の柔らかそうな人が自分がKであることを体全体で伝えてきた。 ぼくも体全体をつかってはじめまして、ぼくがやすはらですということを伝え、その後、紙だの交換し、場所をうつしてお話しする。 やはり期待通りのできる人で、カンプを見はじめた時の目つきの変化に、ぼくは心底嬉しくなった。 デザインのあらゆる要素を有機的にとらえて構図的、内容的バランスを誠実に、厳しく、高いレベルでチェックしてくれる(であろうことは例の特集や目の光り方で確信できてる)人にナマで会ったのは本当にはじめてだったので、もう、なにをいわれるか待ち遠しくてたまらんかった。 一切恐怖がなく、待ち遠しいだけというのは、おもいっきりひっくり返されることは絶対にないという確信があったから。 これは自分の作ったものに対する自信だけでなりたつものではなく、デザインというものが、一部を除いて「不快を排除する」という減算の作業であることを現実として知っていて、今回の対象物が、その例に漏れずまさしく減算の方向を求めていることもこれまた現実として知っていて、さらにそれを判断する相手が、ぼくなんかよりもさらにそのことを骨髄から理解しているということも現実として知っているから。 つまり、排除のツメが甘い部分を指摘されることはあれ、大きな柱を否定されることはありえないことを知っていたから。  予想どおり、あらかたOK。 ニヤリ。  そしてこれも予想通り、指摘箇所は「〜」を「ー」にとか、英文のベースラインの調整、コラム的に細い罫線で囲った部分の罫線が本当に必要かどうか(ぼくとしては調和を乱さないギリギリのラインでアクセントとアイキャッチの役割をのせてやった必要と思われる処置だが、アドバイスしなきゃいけないという立場における初見では調和を乱しているかもしれないという可能性を感じとられたらしい。 しかしこういう微妙なところは、それに入り込んで実際に試行錯誤してみてはじめて本当の答えがわかるものであり、K氏の言葉とはいえそれをただ真に受けることはないと考える。 はい、そのようにいたします、では決してなく、検討の余地あり、ということである。 そしてやはりK氏も経験豊富で誠実であるから、そんなことは百も承知で、あくまで可能性としての提案、アドバイスという態度からはかたくなにはみ出ないからすばらしい!)とか、そういう細部の、減算のツメの甘さ、排除するさいの景色のちょっとした見方の角度、などで、これまで自分以外の人間が気にすることなどなかった、「ほんとうにやるべき微調整」を他人の口からいってもらえることが、本当にうれしくて、快感で、たまらなかった。 いわずもがななところはおたがい途中でアイコンタクトで「あ、はい、わかってる目ですね」という感じで言葉もいらず、なんとはやい! この書体は音引きがでかいのがネックなのであとで%を指定します、女将さんはお花をやれる方なので、こっちのレイアウトのリズムも好きかもしれません、というようなやりとりに、ぼくは静かに盛り上がり、こうなのだ、こういうレベルのやりとりが日々やりたいのだと、おさえきれないラブラブビームが目からあふれる。 ぼくは日々の労働で、商業にまつわる「デザイン」という職業がほんとうにくだらなくてクソの役にもたたないみっともないものだと絶望していたが、しかしここのところ「ピュアデザイン」というものはいわゆる「広告」とは離れた、「アート」と同義の価値が確かにあるなと、ちょっとドキドキしはじめている。 なかなかそれを全面にかかげれる仕事なんてものはないけれども、しかし自分の心構えとして、様々な仕事の一部分でも、自分がここは「ピュアデザイン」の精神を妥協せずに貫こうという自分テーマを設定・実行しさえすれば、できあがるのがホテルのバレンタインチョコのリーフだろうが、サッカーチームのファンブックだろうが、陶芸教室のチラシだろうが、得るべきものは多いし、そこには分かる人には分かる価値をのせることだってできるのだ。 ぬーん、いい傾向だぞぼくの心。

夜、ケーキを受け取り、家に帰る。 今日はちゃんすの誕生日。 来週、毎年恒例のボーノディナーを予定しているので、今日は家でゆったり祝う。 こんなときでも完全植物性で、しかもこってりとした旨味をちゃんとだせるのがすばらしいなちゃんす。 あ、でもケーキで台無しか。

2005-12-16-FRI

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