No.1273 なめとこ山の熊

6年ぶりで「ワールドイズマイン」という度外れにすばらしい漫画を読み直しているのだけど、そのなかで宮沢賢治の「なめとこ山の熊」がでてきた。 その中で、ぼくはここのところが良くって、良くって、心底救われる気持ちになったので、引用紹介。 猟師の小十郎はいつもずるがしこい町の旦那に足下をみられて、考えられないくらい安い値段で熊の毛皮や肝を売っていたのだけど、その流れで

「〜けれども日本では狐けんというものもあって狐は猟師に負け猟師は旦那に負けるときまっている。ここでは熊は小十郎にやられ小十郎が旦那にやられる。旦那は町のみんなの中にいるからなかなか熊に食われない。 けれどもこんないやなずるいやつらは世界がだんだん進歩するとひとりで消えてなくなって行く。 僕はしばらくの間でもあんな立派な小十郎が二度とつらも見たくないようないやなやつにうまくやられることを書いたのが実にしゃくにさわってたまらない。」

いってしまえば性善説なのだが、しかし、賢治のこの「けれどもこんないやなずるいやつらは世界がだんだん進歩するとひとりで消えてなくなって行く。」という断定は、なんて清々しく、気持ちよく、本当らしいことかしら! あいつも、あいつも、ああしたちっぽけな男たち、嘘と誤魔化しでのみビクビクしてるやつらは、「世界がだんだん進歩するとひとりで消えてなくなって行く。」のだ! ふは! たまらん! もう、一生、このフレーズは頭から離れんだろうな。 馬鹿に運悪く接触してしまうたびにひっぱりだしてはニヤリとできる。  しかしところで「ワールドイズマイン」すごいわい。 表面的な暴力性で敬遠してる人が多そうでふんとに勿体ない。

2006-05-12-FRI

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